バングラデシュ旅行記、写真集
(ベンガルの豊かな自然と歴史遺産に出会う旅)
「黄金のベンガル」と謳われたバングラデシュは、古い歴史を持ち、
8世紀の仏教寺院遺跡群、15世紀のモスク群は世界遺産に登録
されている。17〜18世紀の美しいヒンドゥー教寺院も数々ある。
さらに、世界自然遺産として、東京都の3倍の面積を有する世界
最大のマングローブ林もある。
これらを観光するとともに、日本の国土の40%に満たない面積に、
日本の1.3倍の人口を有する貧しい超過密国家の実情を垣間見た。
バングラデシュ国旗
バングラデシュへの経路図
(読者のご感想など歓迎します)
2010_09_25
何故バングラデシュを選んだか?‥‥
バングラデシュは、アジアを代表する貧しい国だが、過去には栄光の時代もあった。
8世紀には、仏教からヒンドゥー教に移行したインドに変わり、ベンガル地域は、仏教最盛期を誇り、ヒマラヤ以南では最大の仏教僧院を建設するほど繁栄した。そして、インド亜大陸の穀倉庫と呼ばれ、進んだ産業や豊かな文化を生み出してきた。ムガール帝国の時代には、ベンガルは経済的に豊かな州の一つと謳われた。イギリス植民地時代には、インドで最も早く、最も強く西欧文化の影響を受け、西欧化・近代化の先頭を切った地域でもあった。経済力の強さと文化活動のレベルの高さから、「黄金のベンガル」と呼ばれたのは、この時代のことである。
しかし、イギリスからの独立運動、パキスタンからの独立戦争において、指導層の人的資源面、経済基盤面、社会インフラ面に大きな犠牲を払い、さらに独立後の政治的混乱と、巨大サイクロンによる水害もあいまって、アジアの最貧国になってしまった。
ところが、ここ数年は、政治、経済、社会、環境等の構造のなかに、ダイナミックな変化が生じているとも聞く。経済面では、インドより少し劣るものの、毎年それなりの経済成長を続け、中間層が飛躍的に増加している。
そこで、近代化の波が全世界に広がる中で、貴重な素朴さを残す辺境地旅行の雰囲気に加え、多面的な観察も行いたいと思いバングラデシュ旅行を決心した。旅行目的は下記3点である。
1)乾季のベストシーズンの「黄金のベンガル」周遊
2)全土に点在する歴史遺産の観光
・15世紀には360ものモスクがあったというイスラム都市遺跡バーゲルハット(世界遺産)
・インド亜大陸最大の仏教僧院跡パハルプール(世界遺産)
・レリーフに覆われたヒンドゥー教のカンタナガル寺院、プティアの寺院群
・古都ショナルガオン他
3)大自然や人々の暮らしを見る多面的な観光
・世界最大のマングローブの森であるシュンドルボン国立公園とカワウソ漁(世界遺産)
・グラミン銀行の農村支援プロジェクトの見学 など (ノーベル賞)
昨年はアイスランドを旅行した。認識不足ではあったが、アイスランドは世界で一番文明度の進んだ国、一番幸せな国、一番勤勉な国、民主主義が最初に高度に発達した国、一番寿命が長い国、インターネットが一番進んでいる国‥‥‥。 あらゆるランキングにおいてアイスランドは世界最高の国であった。
(詳細は弊アイスランド旅行の項参照)
ところが、アジアにはこれとは正反対の国がある。それがバングラデシュである。
ネット情報などを見ても、中央アフリカの国々を除けば世界で一番貧しい国、世界最大の洪水被害を被る国、援助がないと成り立たない国、掘削した井戸からは砒素が検出される国、などなど悪い情報が多い。しかも、人口密度は日本の3.4倍、アイスランドに比べれば実に360倍の国である。
それでは、アイスランドが世界で一番幸せな国に対して、バングラデシュは世界で一番不幸な国か?
いろいろ調べてみた。各国の学者や機関が、国の幸せ度をランキングしたデータも集めてみた。それによると、バングラデシュは日本より幸せとしたデータもあり、中にはアメリカよりも幸せとしたデータもあった。
今回の旅行では、バングラデシュの遺跡・風俗はもとより、そこに住む人々の写真を数多く撮影した。写真に写っている人々、特に子供たちの顔は明るく笑いに満ちており、深刻な説明文と乖離している。
今回の旅行の最大の印象は、人々の活気である。まさに「国民総活気量世界一」である。貧しくて活気がない状況は幸せではないが、貧しくても活気があれば救われる。むしろ、豊かで活気がないよりも幸せかも知れない。バングラデシュの子供たちは、世界で一番貧しい国に生まれたとの意識はなく、贅沢品が溢れる日本の子供たちの表情よりも明るい。
あらためて、貧困と豊かさ、 そして人類70億全員が物質的に豊かになるだけの資源は地球上にはない、などを思いながら旅行記を纏めてみました。そのため写真の説明文は少し長くなっていることをお許し下さい。
(写真集へ)
2010年3月6日 記