趙鏞殷

趙鏞殷の実家跡を訪ねる(2008年3月29 日)

趙鏞殷は(1887-1958)は、号は素昴で、朝鮮が日本の植民地時代に、上海にあった大韓民国臨時独立政府の外務部長を担当し、戦後大韓民国の国会議員となったが、朝鮮戦争で北に行き生涯を終えた人である。韓国では拉北されたといわれるが、よくわからない。

趙鏞殷は1904年11月から1912年9月まで日本に留学していた。当初は大韓帝国皇室費用による、皇室特派留学生として渡日し、東京府立第一中学校で基礎教育を受けた。途中から官費生となったが、正則中学をへて、明治大学法学部卒業まで日本に留まった。日本が日露戦争に勝ち、韓国と第二次日韓協約、ハーグ事件、第三次日韓協約、韓国軍の解散、韓国併合と日韓関係が急速に変わるときであった。

趙鏞殷は「東遊略抄」という滞在記を書いていたが、それによると滞在中2回帰国している。第一回目は1906年である。このとき府立第一中学校の名古屋修学旅行で名古屋方面に出かけ、そのまま留学生半分と一緒に帰国し一月ほど滞在した。趙鏞殷の実家は積城面篁芳里（現在の楊州市南面篁芳里）で、祖父が住んでいた。現在ならば、ソウルの北方、東豆川駅から車で15分ほどの所である。

趙鏞殷はそこを訪ねて数日間滞在しているが、わかれのシーンは、趙鏞殷も感情を抑えられなかったのか、漢文でなく当時の韓国語で書かれている。

7時頃出発しようとして、祖父と母、親戚、幼い弟に別れを言ってから庭に降りるが、祖父は悲しみのあまり話をすることが出来ない。もう会えないだろうとしか言えない。自分も涙を抑えてやっとの事で家を出るが、みんなが村の入り口にある大木のと頃まで送ってくる。祖父達はいつまでも自分たちを見送る。川を越えて振り返ると、村は霞にかすんでいる。戻ろうと思ったが、どうにかカラビ一場まで来た。昼を食べたが、前の川が大雨で渡るのも大変だ。その後歩き続けて楼院で一泊した。

この日記に基づいて、実際の景色はどうなのか訪ねることにした。2008年3月29日、雨に煙る1日だった。

自宅跡（篁芳里)
大木
川
カラビ市場
楼院
沙村里(付)
黄橋(付)

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