趙鏞殷

**沙村里**

モレマル食堂の幟

篁芳里から4㎞ほど離れた所にある村である。もともと砂地の村だったためモレ(砂)マル(マウル＝村)と言っていたものに、漢字式の地名としたものである。趙鏞殷は1906年8月15日にここを訪ねている。日本にいる間に従祖父が亡くなったためである。1906年の2月14日の未時のことで、趙鏞殷がそのことを知ったのは、3月4日に届いた黄橋からの手紙であった。鏞殷は遠い所にいることを嘆き悲しんだ。

この日は兄と弟の3人でここを訪ねている。従祖父の位牌を見た鏞殷は大声で泣いた。昔の事を思いだしてしまったとのことである。

モレマルは現在でも一軒を除いて、趙姓である。8月15日は雨で篁芳里に帰れなかったが、帰る途中に同じ村のクッペ川宅（クッペは村を流れる川の名前)、族従の鏞九宅を訪れている。同族村なのである。このときの従祖父宅は現在も続いているが、鏞殷はこの家のことを別のところで族祖と書いている。本家筋かもしれない。

趙鏞殷の家は生まれたときは坡州の月竜面にあった。それが篁芳里に移ってきている。そのときに、この地を選んだこともモレマルの存在があったからかもしれない。


村の風景	趙鏞殷が訪ねた家(当時のものではない)

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