趙鏞殷

**自宅跡(篁芳里)**

篁芳里(中央付近が趙鏞殷家跡)

趙鏞殷の実家は、積城面篁芳里アンマウルにあった。東遊略抄では篁第、本第、積城などと表現している。現在は楊州市。京元線東豆川中央駅から車で10分ほどの丘陵地帯にある。アンマウル集落はその丘陵にへばりつくように存在している。1906年に一時帰国した趙鏞殷は、8月5日から19日まで滞在した。

8月13日には、趙鏞殷の祖父が、サランに座って、近くにいればいつでも会えるのに、「おまえがもし遠くに行ってしまえば、来年の夏にまた来るとは言っても、どうして(死に臨んで)来られると言えようか。おまえとの別席が直ちに永別なのだ。再び会える日はないだろう」と歎き、父から体に気をつけるように諭されている。

さらに8月19日、出発に望んで各親戚に別れを告げるとき、祖父が再び会うことは難しいだろうと嘆く(実際は長生きしているが）。趙鏞殷もまた来るとは言いつつ、「涙は雨が降るようで、とても離れることが出来ない。ただ、こうすれば決着をつけられると思って、無理矢理悪しを出して」旅だったという。趙鏞殷の日記は漢文で書かれているが、ここだけは純粋なハングルで書かれていて、後半同じ所が再び漢文で整理されて書かれている。1904年以来ほぼ2年ぶりの帰国でもあり、感情が抑えきれなかったのであろう。

趙鏞殷は韓国の解放後一度、この村を訪れているそうだ。そのときに、自分の幼なじみに上海での話などをしていたという。また、村の小学校で歓迎会も開いたそうだ。

今、家の跡は更地になっている。後にここを継いだ人が売却してしまったとのことだ。村自体にも古い建物もが殆どない。朝鮮戦争のときの激戦地の1つで、イギリス軍の駐屯地だったことも関係しているようだ。


村入口（元の道は中央電柱付近を左方向に進んでいた)。奥は胎封	家の跡地。左隅が大門跡。右側にサラン房があった。	家跡(右）から谷入り口を見る。右の山が胎封

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