宗廟

王の祖先の位牌を祀るところ、宗廟。王朝が出来ると王宮から向かって左側に作られる。朝鮮半島での宗廟制度は高麗時代から始まった。14世紀に高麗から朝鮮王朝になったとたん、それまで開京(開城)にあった高麗王族(王氏)をまつる宗廟は壊され、即座にソウルに新たな宗廟(李氏)が作られた。朝鮮王族にとって高麗王族は祭祀する対象ではないのである。

本来は正宮(景福宮)の真ん前に作られるべきであるが、風水地理の影響で少し離れた場所に作られた。ここは正宮を守る山、北岳山(プガクサン:북악산)からの尾根すじにあたり、風水的に墓所や霊魂を祀るところにふさわしい地形をしている。生きている人が住むところは、両尾根が広がる方がよいが、死者の地はまわりを尾根が囲い込むような地形が適地とされる。宗廟はそのためにわざわざ周囲に土盛りをして風水的に死者を祀る地にかなうように造成された。

門を入ると池が3つある。これも風水にあった形(四角い池に丸い島)をしている。その奥に正殿永寧殿がまつられる。どちらも王の位牌を祀ったところである。また、なぜか正殿わきに高麗王である恭愍王がまつられている。毎年5月第1日曜日には宗廟大祭として、祖先の霊魂を祀る儀式(祭祀〔제사:チェサ〕)が執り行われる。

雪景色

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