永寧殿(영녕전:ヨンニョンジョン)

正殿と並んである建物である。ここも王の位牌を祀るところであるが、正殿に祀られなかった王・王妃が祀られる。そのため少し小ぶりに作られている。妃は王と結婚関係にあった妃だけで、そうでなかった者はたとえ王の母になったとしてもここでは祀られていない。
 
王の経験者であっても、降下させられた者(燕山君、光海君)はここには祀られていない。「君」という称号は王族に与えられる称号であって、王に与えられる称号ではない。この2人は王の扱いをされていない。だから埋葬されているところも王が「陵」というのに対して、2人は「墓」であるし、王の行動を記した「○祖(宗)実録」も「○○君日記」である。
 
正殿が一直線の建物であったのに対して、永寧殿は中央が一段高くなっている。ここには李朝の初代、李成桂からみて4代上の祖先を祀っている。儒教では自分からみて数代上までを祀る必要があるからである。あとの作りは基本的に正殿と一緒である。
 
永寧殿の向かって一番右側(東側)は李朝最後の親王、英親王とその妻李方子氏が祀られている。梨本宮家から李王家と名前の変わった英親王のもとに嫁いだ人である。
 

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