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開通15年後の来島海峡大橋  平成26年9月28日






このビデオは、広島から今治に向かう定期バス(しまなみライナー)にて、しまなみ海道の来島海峡大橋を通過した時に撮影したものです。

今を去ること15年前に現場に3年9か月滞在し、来島海峡大橋の補剛桁の建設に深く携わった関係者として感慨を込めて橋を通過しました。

















来島海峡大橋を、バスで通過しながらいろいろな技術開発や安全対策に多くの方々が多くの持ち場で、大変なご苦労をしたことが改めて思い起こされました。
航行船舶が輻輳し、しかも急潮流で名高い来島海峡。この厳しい条件下で補剛桁の架設を遂行するためには、次に挙げる3つの技術的課題を解決する必要がありました。

・第1の課題は、航路内での架設を短期間で終えることです。
この課題を解決するために、一回で吊り上げるブロックを3パネル分の重量500トンと大型化し、メインケーブルに設置した吊り上げ設備も大型化し、架設回数を大幅に減らしました。

・第2の課題は、短時間内に吊り上げ作業を完了することです。
補剛桁の架設時は一般の航行船舶を制限する必要があり、その影響を極力少なくするために航路内での作業を僅か50分以内で終えるという厳しい制約が課せられました。
海底に係留アンカーを打たずに自動的に目標位置で定点保持できる自航台船が開発されました。また吊り上げの設備と桁の定着をすばやく行うためにクイックジョイントを採用しました。主巻ウインチについても、高速化を図りました。

・第3の課題は、工程を確保するための安全対策の強化です。
航路内で万一トラブルが起こった時はその影響が大きいため吊り上げ設備、走行設備などの主要機器はダブルセイフティーの設計思想を積極的に採用しました。
また航行船舶を制限するために、架橋地点の近傍と遠方に合計13隻の、広報船と監視船、警戒船を配備し架設作業の連絡も合わせて合計72個の無線機が使用され、各種の指示と連絡があわただしく飛び交いました。

これらの技術的課題を解決したことにより、来島海峡大橋は補剛桁の最初の吊り上げから最後の閉合まで約1年、一回の架設時間は平均約30分ですべて無事故で計画通りに達成することが出来ました。、