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随想:フィットネスクラブに通う
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§5.傍若無人な熟女集団
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フィットネスクラブの客の90%は女性のようだ。放っておいても平均年齢の高い女性が健康に気を遣うのに較べ男性客が少ないのは合点行かないが、女性の方が積極的なのだろう。

中でも「熟女集団」の行動はひときわ目を引く。昼食時のデパートの最上階レストラン街やパック旅行も「熟女集団」が目立つが、フィットネスクラブでも特に午前中は多い。
彼女達は他人に迷惑を掛けている訳ではないが、傍若無人な所もある。
当方が「筋トレ」で励んでいる鏡の前で延々とお喋りをする。階段の通路でも休憩所でもお喋りが始まると周囲の状況に関係なく止まらない。
エアロビクスの教室などで、開始後時間が相当に経過しているのに平気で入ってくる。教室のエアコン温度が自分の気に召さないと直ぐに注文をつける。
女性が全体の9割以上を占めるのでこのような特徴が目立つのかも知れないが、一つの文化論を書くことが出来るほど事例に事欠かない。

極く一部の女性には弁えて欲しい事もある。若さを取り戻すべく派手な衣装も分かるが露出部分が多すぎると目の遣り場に困るし、逆に寝間着のような衣装もそぐわない。
歳を経てからの努力には敬服するが、「ガマガエル」が「人魚」の衣装を着ても所詮「ガマガエル」である。色気は自分でなく他人が判断するものなので、むしろ品位と優雅さを磨いて欲しい。

彼女達の建前の目的はダイエットや若返りであろうが、次々と教室を渡り歩くさまを見ると、むしろ社交場・お喋りの場として自己の存在を鼓舞するためにフィットネスクラブを活用しているようだ。歳をとると益々自己中心になると言うが、反面教師としたい。

午後も夕方近い時間になると「熟女集団」は消え、若い女性が増えて雰囲気は変わる。エアロビクス教室も、級のレベルは同じでも難易度が増す感じだ。
若い女性は有酸素運動も真面目に行っている。ただ彼女達は学生で時間が有り余っているのだろうか? それほど体脂肪が溜まっているようでもないので、若さ溢れるこの大切な時期をほかの有意義な活動にも費やして欲しいとも思う。

「筋トレ」に励んでいる女性も多いが、軽い負荷で行っている人が多い。フォームはインストラクターに教わった通りで綺麗なのだが、内容は安易である。これでは素人目にもトレーニングにはならないと思う。生活の多くの場面で安易さが身に付くと、将来それが災いの元にならないかと余計な心配をする。

関連して、日本の時代背景に思いを巡らせて見たい。1980年代は後半に起きたバブルに象徴されるように成金がカネを無駄遣いした10年であり「甘えの10年」とも言われ、1990年代はバブルの後遺症による景気後退と長期不況が続き「失われた10年」とも言われている。青年期・壮年期をこのような環境で過ごした人達の中にはバランスが崩れている面があるかも知れない。勿論これは男性も同じであり、さらに現在は「世界のバランスが崩れつつある時代」とも言える。

私はここ数年、辺境の地を旅行したことがある。女系家族で家と財産は女性が継ぐとの誇りを持って子供を優しく育てるヒマラヤの秘境「ブータン」、厳しい気候条件の中で生き延びるべく骨格逞しく一家を支える「モンゴル遊牧民」の女性、家事労働の全てを女性が行うとの自覚を持ち繊細な伝統工芸衣装を自給自足で制作する「ベトナム北部山岳少数民族」、などを見てきた。
彼女達には「甘えの10年」も「失われた10年」もなく、貧しいけれど毅然たる誇りと家族に対する愛情を持っているように見えた。生活は単調かも知れないが、バランスは崩れていない。豊かでバランスが崩れている日本と対照的である。
ブータンモンゴル遊牧民ベトナム北部少数民族については、「私のどこでも散策記録」の当該ページを是非ご覧頂きたい)

このような事を現場で発言しようものなら生きては帰れないだろうから、細々とこのホームページに書くしか方法はない。男性側に対しても女性側から言いたいことはあるだろうが、男性の割合は圧倒的に少ないので多分話題にならないだろう。

以上、独断を述べ立てて恐縮だが、あくまで例外的なことを強調したものであり、老若含めて魅力的な女性が多いことも申し添えて弁解としたい。 
  
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