古市の寺社2(辛国神社、西琳寺)(大阪府羽曳野市)
辛国神社 西琳寺塔礎石

辛国神社は葛井寺の西隣にある。延喜式に出ている神社で物部氏の氏神とされる。一方で、この地に多く住んでいた百済からの渡来系住民が祭祀をした場所とも考えられる。祭神の一つに素戔嗚尊がいる。境内には辛国池旧跡があって、ここが辛国池の端だったことが分かる。農耕用の潅漑池として掘られたものと考えられ、近くからは「古市大溝」跡が発見されている。

西琳寺は西文(かわちのふみ)氏の氏寺であった。西文氏は王仁の後裔とされ、古市で繁栄した。古市は大和川と石川が合流するところで、旧竹内街道の通っているところである。竹内街道はここから河内飛鳥をとおり、二上山の竹内峠を越えると飛鳥に入る。このような交通の要衝を基板とした氏族が西文氏であった。

西文氏は、その後、5世紀後半に渡来した人々を配下に入れちえき、この地域を渡来 人の文化地帯としていった。寺伝によれば559年に創建されたこの地域最古の寺院である。ただし奈良時代をさかのぼる遺物は発見されていないという。寺には塔の礎石や建物の礎石跡が残されているが、塔の礎石は長さ3.2m、幅2.6m、重さ2.6tの大きなもので、この寺院が大寺院であったことを伺わせる。

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