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2006年6月3日
裁判所と韓国語

6月2日、学校の仕事で東京地裁の法廷見学へ行ってきた。
裁判所は自由にいつでも見学できるが、授業の一環だったのだ。
3つの法廷に別れ見学。どれも覚醒剤使用罪に関するものであったが、
見学したものは法廷通訳事件であった。
 
法廷に向かって左側に検察官、右に弁護人。正面下左に法廷書記官、右に通訳が座る。
被告人は弁護人の前に衛視とともに座り、必要があるときに正面に来る。
刑事訴訟法に従い、人定質問、起訴状朗読、証拠調、(論告求刑)と進む。
自白事件であったために審理は情状面が中心であった。
 
以前見学した事件は中国朝鮮族のもので、
通訳がほぼ同時通訳で進行していたので、
聴いていて大変疲れた。文法構造がほぼ同じ言語であるため、
頭の中で「意味のエコー・ドップラー現象」がおこるのだ。
 
今回は逐語であったが、ワイヤレスを使っていたため、
前回ほど気にはならなかった。
 
聴きながら、「ここはこういう表現をするのか」とか、
「法律用語をこう訳すのか」と思って聴いていた。
一方で、通訳は難しいとも改めて感じた。
テクニカルタームや長すぎる話、反対に簡略すぎる表現をどう「正確に」訳すか。
 
ニュアンスをどこまで正確に伝えるか。
たとえば、被告人が
「もう二度と、(力をこめて)もう二度と日本には来ません…どうもすみませんでした」を
「もう二度と日本へは来ません。すみませんでした」とさらりと訳すと、
裁判官にどう伝わるかなど「正確さ」についていろいろ考えさせられた。
もちろん、相当水準の高い通訳である。
だからこそ、かえってその様なことを感じたのだ。
 
一方で、言葉を勉強する立場からすると、
ヒアリングの練習に使えそうな場所だと言うことにも気がついた。
韓国語に限られない。
今度時間がとれたら、改めて傍聴しようと思った。

Posted by hajimet at 20:05 | Comments (0)