6月2日、学校の仕事で東京地裁の法廷見学へ行ってきた。 裁判所は自由にいつでも見学できるが、授業の一環だったのだ。 3つの法廷に別れ見学。どれも覚醒剤使用罪に関するものであったが、 見学したものは法廷通訳事件であった。 法廷に向かって左側に検察官、右に弁護人。正面下左に法廷書記官、右に通訳が座る。 被告人は弁護人の前に衛視とともに座り、必要があるときに正面に来る。 刑事訴訟法に従い、人定質問、起訴状朗読、証拠調、(論告求刑)と進む。 自白事件であったために審理は情状面が中心であった。 以前見学した事件は中国朝鮮族のもので、 通訳がほぼ同時通訳で進行していたので、 聴いていて大変疲れた。文法構造がほぼ同じ言語であるため、 頭の中で「意味のエコー・ドップラー現象」がおこるのだ。 今回は逐語であったが、ワイヤレスを使っていたため、 前回ほど気にはならなかった。 聴きながら、「ここはこういう表現をするのか」とか、 「法律用語をこう訳すのか」と思って聴いていた。 一方で、通訳は難しいとも改めて感じた。 テクニカルタームや長すぎる話、反対に簡略すぎる表現をどう「正確に」訳すか。 ニュアンスをどこまで正確に伝えるか。 たとえば、被告人が 「もう二度と、(力をこめて)もう二度と日本には来ません…どうもすみませんでした」を 「もう二度と日本へは来ません。すみませんでした」とさらりと訳すと、 裁判官にどう伝わるかなど「正確さ」についていろいろ考えさせられた。 もちろん、相当水準の高い通訳である。 だからこそ、かえってその様なことを感じたのだ。 一方で、言葉を勉強する立場からすると、 ヒアリングの練習に使えそうな場所だと言うことにも気がついた。 韓国語に限られない。 今度時間がとれたら、改めて傍聴しようと思った。
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