« 前のエントリー | Main | 次のエントリー » | Comments | Post a comment


2014年9月3日
初期外交(1) 20140901

1. 岩倉使節団(1871〜1873)
    岩倉ほか、大久保利通、木戸孝允、伊藤博文ら(西郷等が留守政府を構成)
   目的 a.条約改正交渉(準備交渉)
        日米修好通商条約第13条で1872年から条約が改正できるとあるため
       b.欧米の制度、文物の視察
         改正交渉は失敗に終わったが、視察はその後の日本に大きな影響を与えた。
 
    当時の記録
     イギリス 1800年代になってから発展。現在のようになったのはたかだか40年
            →日本も大急ぎで近代化できる。
     フランス 政変が多いし、なかにはコミューンの様な過激なものもある。
            →安定した政府を作る必要
     ドイツ 英仏より学ぶ所が多い。
           ドイツ(1871年統一):普仏戦争の結果。
             フランスに対抗するために皇帝中心に急速な近代化が必要。
              =日本に似ている
           →これ以降、日本はドイツの制度に従うようになる。
 
同時に法体系を西欧法体系に変えた
江戸時代は武家法だったが、明治維新で律令を採用した。
しかし、それでは欧米に対抗できないことに気がついたから。
 
結果的に欧米並みの法が作れ、運用できると欧米に認められることに繋がり、
条約改正へと進んだ。
 
2. 日清修好条規(1871)
   岩倉使節団が出発する前に締結。
 
それまで、清国との間に条約はなかった。
清国人は長崎の唐人屋敷にいたが、基本的には自由な立場であった。
だが、安政の五カ国条約以来、彼らの立場は不安定になった。
 
これらの条約では、開港場、居留地、開市場などがきていされたが、
清国人についてはそれがなかったからである。だから、清国人は形式上、 
欧米人の会社に雇われるか、個人の家政婦の様な形で居留地に住むしかなかった。
 
この条約は日本初の対等条約。    
 相互に開港場、領事裁判権が認められる。
 
理由
清国を西欧式国際体制に編入し、それによって欧米に対抗し、かつ条約改正につなげる。
 
(ア)清国を西欧国際体制に編入
   清国を中心とした東アジアの国際体制冊封体制
     中国皇帝が、各国の王を「王」として認めること(封じる)。
    
           皇帝=天命
         ---------------
               ↓↑       ↓↑     ↓↑(朝貢)
               琉球   朝鮮  越南
        王    王    王
 
 
中国は漢民族が国家を作ることが多いが、つねに異民族の脅威にさらされている。
そこで異民族から中国皇帝を守るために考え出された
お互いの関係を作れば、脅威にさらされることはない。

各国の王も、お墨付きをもらうことになるので、
国民の信頼が得られるし、同時に安心して政権を運営することが出来る。
 
また、1592年の豊臣秀吉の朝鮮侵攻の時のような場合、
中国は冊封した朝鮮を支援して軍隊を送った。
朝鮮を助けることと、明を守る国がなくなってしまわないようにするためであった。
 
王は一年に一度、皇帝に朝貢した。その見返りに多くの品物を与えた(一種の貿易)。
中国は英仏との貿易も同じような観点で見ようとしていた。
また、日本は冊封体制の外にある(海の存在は大きい…
だから西欧的な体制に簡単に転換できたとも言える)。
 
このような体制だから、保護国とか従属国とは違う
冊封関係は皇帝と王の関係であって、国の関係でない。
だから、王は各国で独自の政策を行えたし、中国は内政干渉をしなかった(19世紀までは)。
保護国、従属国は内政に干渉される。(誤解している人が多いが…)
 
また、皇帝はひとりだけである。
天に命ぜられた人が皇帝となって、天の代わりに地上を収めるからである。
 
冊封体制を理解しておかないと、この頃の日清、日琉、日朝の関係は理解出来ない。
さらに、現在中国政府が主張しようとしていることも、
冊封体制をイメージしていることが多いため、この関係を理解する必要は大きい。
 
 西欧式国際関係
国と国は対等。対等な国同士が条約を通じて契約をする(キリスト教が背景)。
東アジア的な皇帝による恩恵での国の存在ではなく、一切を契約で決めていく。
 
キリスト教的思想が背景になっているから、
キリスト教的な場を持っていないと対等とされなかった。
 
(イ)欧米に対抗
当時文明国とされた欧米に対して、
日中のある東アジアもヨーロッパと対等のことが出来ると主張できる。
 
(ウ)条約改正に繋げる
欧米と同じことが、欧米と同じように出来れば、
国のあり方が(非キリスト教圏であっても)欧米と対等と言うことになるから、
対等な国として扱われるようになる。すなわち、不平等条約を改正することが出来る。
 
このようなもくろみで締結された条約が日清修好条規であった。
 
次回は、琉球、朝鮮と明治六年の政変、ロシア。早いクラスは西南戦争まで。

Posted by hajimet at 21:54 | Comments (0)

Comments


Post a comment