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2014年6月10日
倫理 20140610 思想の源流(3) 日本神話、神話とは
日本神話の続き。再び、混沌のあとの流れを話す。
とくに、イザナギが黄泉の国に行き、イザナミに会った後の顛末と、
穢れた所から戻ってきたために禊ぎをした話を、清明心に結びつけて話した。

その後北欧神話。トネリコの木を取り巻く世界は九つに分類される。
最高位はヴァナヘイム。ヘイムはハイム。人間世界は中間でミットガルト。
ミットはミドル、ガルトはガーデン。

原初は裂け目ギンヌンガガプしかなかった。
その南に炎の巨人、ムスペルスヘイムと、北に氷の巨人、ニヴルヘイムができて、
熱気と霜がぶつかって滴が垂れた所に、巨人ユミルが誕生した。
続けて、牝牛アウズフムラが誕生し、
その乳を飲んで成長したユミルが神々を産み出した。
インドからヨーロッパにかけて、神話に牝牛が出てくるものは多い。

ギリシア神話では原初は混沌(カオス)であった。そこからビッグバン的に一気に
大地の神、ガイア、それより深奥の神タルタロス、愛の神エロスなどが生まれる。
神は擬人化されていて、人や半人半魚として描かれる。ゼウスの父、クロノスは
時間を擬人化したもの。

このように神話を眺めてみると、何となく共通点があるように思われる。
黄泉の国の話は、日本神話だけでなくギリシア神話にもある。
ヒルコの話は、ノアの箱舟伝説の仲間とされるなどである。
そもそも神話とは何なのか。

4.神話とは
人間は、事物の原因とか起源を求めようとするものである(ホモサピエンス)。
そこで、あらゆるものの根源を想像力でもって擬人化された神に求め、
「ことば(myth)」で説明しようとしたものが神話である。

一時的娯楽である「昔話」や、歴史的事実を元にして作られた「伝説」とは異なり、
あくまでも、「起源」を説明しようとしたもの。

すなわち、「理屈」でもって、説明をしようとしているものある。
起源に関心があるから、いずれにせよ起源神話の性格を持つが、
その起源は3つのものに分けられるとされる。

1).宇宙の起源―創造神、最高神、そして神々の物語。
2).人類の起源 宇宙の起源について触れていなくとも、
  人類の起源に触れないものは無い。

  巨人のふくらはぎ(シャカは右脇っ腹から)、卵、植物(竹取、桃太郎)、
  地中、天(天孫降臨、アマテラス=日本人全体が天孫降臨の神の子孫となる)
3).文化の起源。イザナミの黄泉の国の話(夜、灯りを点さない理由)。

しかし、本来は呪術の必要から作られたものである。
 アッカドの「虫歯の神話」を読む。これは天地創造神話、虫歯の原因、治療の
3段階からなっているが、これを治療の時に唱える。すると、効果があるというもの。
呪術と神話の中間的なものだ。

これにより、虫歯が治るのは、それまでの虫歯であった自分が死に、
新たに生まれ変わると言うこと。すなわち擬死体験、再生からなる。
元服などの通過儀礼が同様の構造を取るが、実は儀式の多くにこれが見られる。

新年のお祝いは、それまでの神が死に、新しい神が生まれ、新しい秩序が
生じることを祝う儀式である。

ところで、なぜ、神話がよく似るのか。次の時間は別の面から光を当ててみたい。

Posted by hajimet at 20:29 | Comments (0)

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