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2014年6月3日
日本史 20140602
・第一次長州征討
幕府は威厳を回復するために、朝敵となった長州の征討を行った。
一方英米仏蘭は5月10日の攘夷の反撃の機会を狙って、
この機会に下関を砲撃して、下関砲台を占領した。
長州に攘夷は無意味であると言うことを思い知らせようとしたのである。
ただ、幕府軍側と戦闘にならないように、四カ国側は幕府に事前に連絡している。

結局長州は一時的に保守派が勢力を握り、蛤御門の変の責任者を処罰して、
全面降伏した。
しかし、賠償金を支払うことはしなかった。
攘夷は幕府の命令によるという理屈である。幕府は300万ドル負担することになった。

同じ頃薩摩でも動きがあった。1863年、薩摩の島津久光が江戸を退去するとき、
生麦事件が起きた。イギリスは幕府と薩摩に対して首謀者の処罰と賠償を求めた。
これに幕府は応じたものの、薩摩は応じなかった。そこでイギリス艦隊7隻が
鹿児島湾を攻撃した。薩英戦争である。これに薩摩軍は激しく応じ、
イギリスは、目指した鹿児島上陸を果たせなかった。結局勝敗不明のまま、
講和条約を結んだが、これにより薩摩は攘夷が不可能なことを悟ることとなった。
 cf.錦江湾沿いの薩摩軍の墓地

・条約勅許、改税約書
その後、四カ国の公使はは兵庫沖に軍艦を派遣し、
幕府に対して、賠償金減免と共に、条約勅許と兵庫開港(1868年予定)を求めた。
ちょうど将軍も長州征討のために大坂にいたため、
朝廷と幕府双方に圧力を加えることが出来た。

四カ国は、井伊直弼が独断で条約を承認したときと情勢が変わって、
仮の統治者である「タイクン」でなく、
実質的統治者の「ミカド」の勅許がなければ、条約を安定して運用できないと
考えたのだ。

これについて、1866年(慶応元年)10月に御前会議が開かれた。
御前会議は、近代史では初めて登場するが、
それだけ朝廷の力が強くなったことを示している。

これによって、兵庫以外の開国、開市を許可した。
違約条約はここで正式な条約になったとも言える。

兵庫は大坂、京都に近く、
極度の外国人嫌いだった孝明天皇は開港させたくなかったのだ。

兵庫開港の勅許は1867年6月のことであったが、
このときは既に明治天皇と慶喜の時代になっていた。

続いて1866年改税約書の締結を迫られる。
日米修好通商条約は締結5年以降関税率の改定を認めているが、
条約の勅許とともに、ようやく改定が可能になったとも言える。

この改定は、イギリス公使、パークスが中心になって行われたが、
パークスは日本を下に見る傾向の強い人だった。

そこに兵庫不開港を認める代わりに、清国と同じ方式での改定を要求したのだ。
その内容は、輸入関税を一律5割(それまでは0〜35%)として、
従価税でなく従量税を採用した(現在、自動車重量税や酒税が従量税)。


これによって自由貿易が促進されたが、
資本主義は基本的に弱肉強食の世界である。
日本に安価な製品が大量に流入することに反して、産業界は大打撃を被った。

現在でも、TPP交渉が行われているが、同じような問題が起こりうる。
現在特に問題になっていものはブタであるが、ブタ産業が成り立たなくなる可能性がある。

かつては、牛、レモン、紅茶、バナナなどが問題となったが、
牛はブランド牛化することで対応した。

さらに従量税のため、高価な商品ほど利潤が大きかった。
これらを通じて外向の主導権は朝廷に移っていた(事実上の明治維新の始まり)。

・英仏と薩摩、幕府

このような流れの中で、イギリスは幕府を見限り、
安定した市場を求め、条約を履行できる強固な新政権の成立を期待し始めた。

薩摩も文久改革後の薩摩と幕府の確執と
(国学VS水戸学:大老の会議は64年に開かれなくなる)、
薩英戦争の結果、開国論に移り、イギリスと接触し始めた。

同時に西郷隆盛、大久保利通若手改革派の下級武士が藩の実権を握った。
薩摩はイギリスに留学生を送るなどするほか、近代工場を造るようになった。
パークスも薩摩を訪れている。

これに対抗した国がフランスである。
ナポレオン三世の時代で、イギリスに対抗して拡張政策をとっていた。
フランスは横須賀製鉄所の建設についての契約書を幕府と交わした。
仏蘭西公使ロッシュの働きかけで、
病気によって壊滅的打撃を受けているフランス養蚕界のために、
蚕卵紙や生糸をフランスに売り、その売り上げを製鉄所建築に回すこととした。
幕府からすれば、貿易を独占することが出来るので、利害関係が一致したのである。

こうして、
イギリス、フランスの対立を背景に、事態は急速に倒幕に向かうのである。
Posted by hajimet at 20:16 | Comments (0)

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