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2005年5月21日 |
ブルックナー交響曲第7番 |
昨日、新日本フィルハーモニーのコンサートを聴きに行ってきた。曲はベルクのバイオリン協奏曲と、ブルックナーの交響曲だ7番。 1楽章は全体に陰影のはっきりした演奏だった。オルガンのまっすぐな響きと言うよりも、油絵で光の蔭りが目立ちはしないが、はっきりと見えるような演奏だった。ことにはじまって5分くらいからオーケストラの響きが良くなってきて、その陰影がよくみえていた。 特に再現部手前の展開していくところでは、テンポ感や勢いだけで進んでいく演奏をよく耳にする中で、微妙にテンポを動かしながら、推進力も失わずよく聴かせていた。 中間部のトロンボーンのppは結構大きめの音で、音量よりも響きでppを表現させていたように感じた。チェロの目立つところも多いが頑張りすぎず、旋律をきれいに描いていた。1楽章の最後はかなりテンポが上がるが、全体にかなりゆっくり目のテンポだった。 2楽章もかなり遅いテンポだったが、一つ一つの音に意味を持たせていた。特に冒頭のワグナーテューバの旋律の直後、弦が弾く3つの和音を一つ一つつかみ直して弾かせたり、40小節目付近での、バイオリンの16分音符が2つずつスラーでつながっているところをスラーの切れ目を強調しているところが印象的だった。 3つの和音は何回も出てくるが、冒頭と同じ音型以外の所は陰影をそれほどつけていなかった。中間部は比較的テンポを上げていて、全体としてまとまりを作っていた。今回の演奏会ではホルンが下手、ワグナーチューバが上手に別れて座っていたが、こうすることによってワークナーチューバとホルンの関係が立体的に書かれていることを改めて確認した。 3楽章は4つの楽章の中では、もっとも推進力と勢いの感じられる演奏だった。81小節目などで突然音量を抑えてクレッシェンドしていくところに、意外さも感じた。 4楽章はほぼ4小節か8小節ごとにテンポが微妙に変わり、ルバートも多用された。スコアにもかなり細かい指示があって、それもほぼ忠実になぞっていた。それほど違和感を感じさせずに曲が進んでいき、曲の雰囲気に合っているときにそれに合うようにテンポを動かしても自然に聞こえることにあたらめて気づいた。 金管が複付点で吹くところにはスコアではBreiterと書いてあるが、本当に広々と演奏していた。とくに4楽章最後のBreitのところはがくっとテンポが落ち、一瞬停まるのではないかと錯覚したところもあった。 最後から2小節は、4分音符で曲が進む中、トロンボーンだけが付点で動くところがあり、スコア上掛け合いが面白いのだが今までなかなかきれいに行った演奏を聴いたことがなかった。今回はとてもきれいに掛け合いになっていた。 一番最後の響きは押し出すような響きでなく、ふわっと浮かせるような「天上へ導くような…?」響きで終わり、余韻を楽しませるような終わり方で、とても印象的だった。 テンポも遅めで、70分を越える曲だが、とても楽しめた演奏会だった。(全体の休止の時、近くの人のお腹がキューっとなったのにはびっくりしたが…)
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Posted by hajimet at 16:49
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