万松院(1)

万松院は朝鮮出兵と、その後の修交のときの領主、宗義智(1615年没)をまつるために、城の脇に立てられた寺である。境内には宗義智とその後歴代の一族の墓所がある。本来かなり大きな寺だったようだが、明治の廃藩のときに規模が小さくなってしまった。現在の本堂は明治12年(1879)に建てられたものであるが、山門だけは創建当時のもので、桃山様式を残している。

宗氏はもともと平家の流れで、惟宗氏を名乗ったが、朝鮮との関係から朝鮮風に「宗」一文字にしたといわれている。渡来系秦氏の末裔という説もある。

本堂の中には朝鮮国王より墓前に寄贈された三具足が展示されている。同じものが日光東照宮の家康の墓前などにも具えられている。また、通信使との関係で境内に徳川歴代将軍の位牌もまつられている。これらは境内にあった東照宮が整理された後、万松院に写されたとのことだ。

庭には諫鼓(かんこ)が置かれているが、これは君主に諌言しようとするときにそれを叩いたという。同様のものは韓国の王宮にもあったが、こちらは申聞鼓(シンムンゴ)と呼んでいる。韓国のものは叩くまでの手続きが複雑で実際にはほとんど叩かれなかったようだが、こちらのものも、なかなか叩くことが出来なかったとのことだ。

三具足 徳川将軍歴代の位牌 諫鼓

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