薬水渓(약수계ヤクスゲ)廃寺破仏

薬水渓は三陵渓の隣にある谷である。慶州の矯導所(刑務所)の直ぐ裏手から始まる。かなり長いこと一直線の緩やかな道であるが、途中から急にきつい坂道となる。その途中に首の取れた石仏、蓮台などが斜面に半ば埋もれて転がっている目に入る。新羅時代後半の寺跡で、石仏もそのときのものである。

新羅の仏教は最初のうちは国を守ることを祈願するためのものであったため、国の安泰を祈る寺院が多かった。しかし、新羅の後半になると禅宗が中国から入ってきて、国の安泰よりは貴族など広く個人の信仰の対象と変わっていった。寺も個人の寄進のものが増えたが、南山の石仏や寺跡もその頃のものが多い。写真は本来カラーであるが、白黒の方が雰囲気が出るので、そちらを使った。

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