影池(ヨンジ)

影池(영지:ヨンジ)は国鉄仏国寺(불국사:プルグクサ)駅から2キロほどのところにある貯水池であるが、仏国寺に関係する伝説があることで知られる。仏国寺の塔を作るとき、百済民の子孫、阿斯達(아사달:アサダル)が石工の名工として呼ばれた。塔ができるまでの間は寺に籠もらなければならない。そのうちに、夫の木滝を待っていた妻の阿斯女(아사녀:アサニョ)が待ちきれず仏国寺までやってきた。しかし完成まで女性に会うのは禁忌である。阿斯女は僧侶の指示で近くの池で待つことにした。塔が出来たら、池に塔の影が映るからと言うのだ。

しかし阿斯女は待ちきれず、池に身を投げてしまった。塔が出来て妻のことを聞いた阿斯達は、池に来てみたが妻が死んだ後だった。妻を捜して回っていたら、忽然と岩の上にほほえんだ妻が現れ、それが次には仏に変わったという。そこで阿斯達はその岩に妻の姿を彫りつけ、帰宅したという。その後、この池は影池と呼ばれ、阿斯達の作った釈迦塔は無影塔(무영탑:ムヨンダップ)と呼ばれるようになったと。

池の端には石部座像が一体ある。伝説の仏像とも言う。顔の摩滅が激しいが、光背や台座の彫りはとてもすばらしいものである。

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