三角州の広がる洛東江
韓国南東にある洛東江は長さ525qで、日本一の長さをもつ信濃川367qよ
り遙かに長い。これは地質の変化などによって大きく蛇行しているためである。この川も他の川と同じく勾配は緩く、水は穏やかに流れる。河口から350qほ
ど遡った安東でさえ、川底の高さは海抜100メートルほど、河口から100キロほどの地点で川底の高さが海抜0メートルになる。川もほとんど浸食をしなく
なり、川のまわりに積もる土は薄い。
しかし、この川の河口は他の川と異なる特徴を持つ。広い三角州地帯が作られて
いるのだ。面積15000haで、川がいくつかの筋に別れ川中島を作りながら海へ注ぐ。ここを金海平野という。日本からの玄関口の一つ、金海国際空港もこ
の川中島の中にある。洛東江はじめ、韓国の川は渇水期と洪水期の流量の変化が激しい。洪水のときは大量の土砂が流されてくる。それが適度な潮流によって河
口部分に溜まったのだ。
黄海方面は潮流が早すぎて三角州は出来なかった。一方日本海側は大きな河川が
ないため、大きな三角州は作れない。そのため、朝鮮半島で唯一と言ってよいほどの三角州である。ただし、岩盤の上に積もる砂は50メートルほどである。関
東平野や新潟平野のように沈降しているところに砂がたまる日本の平野の場合、3000メートル以上も砂が堆積していることからすると、かなり薄い。
もともとはエスチュアリと呼ばれる河口が溺れてできた地形に砂が
溜まったもので、19世紀の地図では今は三角州の中の山になっているところが島として描かれている。三角州の片側は梁山断層によって直線
状になっている。現在でも三角州が発達していて、その地域の水深は浅い。海水と淡水の混じる汽水域もあり、そこに集まるプランクトン、魚をねらい渡り鳥な
どの鳥が多く集まる。
現在、河口には河口ドックが作られ、釜山市民の水甕ともなっている。