中江の島

黒 瀬の辻より

中江の島は平戸島と生月島の間にある島で、生月のかくれキリシタンの聖地で、「おむかえ様」「御三体様」「サンジュワン様」と呼ばれている。集落によって 信仰の仕方は異なるようだが、この島に向かって家内安全や病気平癒を願ったり、墓を建てるときも中江の島の方に向けて建てるという。

また、信徒が儀式を子なうときに使う聖水もこの島から採取する。島の割れ目の所から採取するのだが、どんなに乾いているときでも、信者が「おらしょ」を唱えれば、水が湧き出すとされている。

ここが聖地となったのは、多くの信者がこの島で殺害されたからだという。1622年に平戸や生月で布教を行っていたカミロ・コンスタンツォ神 父が捕まり、平戸の対岸(九州側)の焼罪というところで殺された。それとともなって、カミロに協力した多くの信者が捕まり、処刑された(1622年、24年)。その場所が中江ノ 島であった。「ここは天国から遠くない」といって死んでいった者もいるという。そのため聖地ろなった。なお、「サンジュワン」とは聖ヨハネのことで、ここで殉教した洗礼名ジュワンという人物に因むとされる(生月島の「島の 館」のHPによれば、それより前に聖ヨハネ信仰があって、聖地化されていたのではないかとする)。


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