亀旨峰(구지봉:クジボン)
大王降下の伝説を彫った歌碑 亀旨峰と彫られた支石墓

亀旨峰一帯は伽倻(가야:カヤ)の建国神話に関係するところである。そばには金首露(김수로:キムスロ)王陵王妃陵もある。周囲は3,4世紀に最盛期を迎えた金官伽耶の中心地であるが、その城跡とされる鳳凰洞遺跡と、墓所である大成洞古墳群が亀旨峰から一望でき、その向こうには当時海だった平野の広がる様子が見える。伝説の成立時期とも関係するが、ここがそのような場所だったために、建国神話の地となった。

建国神話では、紀元42年のある日、亀旨峰で尋常ではない声がした。人々が集まると、「私は王となるよう天から命ぜられた。ここに下りるので『亀よ亀よ首を出せ、出さないと焼いて食べてしまうぞ』と歌え」という声が聞こえてきた。そうしたところ、天から金の箱に入った卵が6つ下りてきて、翌日6人の男が生まれた。最初に現れた者を首露といってここを治めた。残りは他の5伽倻の王となったという。

以前は峰の頂上に卵形をあしらったモニュメントがあったが撤去され、代わりに亀の首型の石が置かれている。また、日本時代にここと首露王妃陵の間に道路が造られ切り通しとなったが、風水上の「気」の流れが切断されたとして盛り土されトンネルとなった。

この丘の脇には「亀旨峰石」と彫られた石が置かれている。支石墓に彫られたものである。朝鮮時代の記録を見ると、この周囲にはほかにも支石墓が多くあったようである。また、周囲には無紋式土器の破片が散らばっていて、この地域が金官伽倻の中心地になる前から有力な集団があったことがわかる。ここの支石墓は南方式といわれているものだが、金海を含め、韓国南部と北九州の一部でこの形式のものがみられる。

なお、日本書紀の天孫降臨神話である、ニニギノミコトがおりたクシフルノタケと亀旨(クジ)は同根のものと考えられている。

今は無き卵のモニュメント 金首王陵(右)へ行く尾根とトンネル 鳳凰洞(中央)と大成洞古墳(右の緑地)

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