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2014年7月18日 |
日本史 20140714 殖産興業 |
殖産興業 政府は、産業育成策にも手を着けた。 時代は帝国主義の時代である。資本主義経済は、利潤を得る経済活動を行う中で、経済を発展させていく経済体制であるが、「カネ」だけで競争するために、競争に負けると這い上がれない弱肉強食の世界でもある。1870年代以降、列強諸国は自国製品の市場を海外に求めてアジア、アフリカを分割していた。 日本も国外から安価な製品が多く流入した。しかも一律低関税であるから、国内産業を保護することが出来なかった。通常は弱い産業については高関税にして産業を保護するのだが(現在のコメがその代表的なもの)、改税約書以来の税率のため、それが不可能であった。このままでは国内産業は列強に押しつぶされると言うことである。 一方で高額所得者は元藩主、公家、江戸時代以来の商人で、新たな産業を興すほどの才覚はなかった。 そのために政府が殖産興業を行った。これによって近代産業を導入するのだが、近代=西欧であるから、西欧の産業を入れなければならない。そのためにお雇い外国人の指導を受けることとした。 @政府による育成 政府は1870年に工部省を設置した(これは後に内務省に吸収される)。1872年イギリスの公債により新橋-横浜、京都-大阪に鉄道が敷かれた。新橋は汐留、開市上で居留地であった築地の手前である。横浜は桜木町で、その先は港と外人居留地である。すなわち、居留地、開港場と開市場を結びつけることが目的であった。東京-大坂は今の中山道ルートを考えていて、東海道線は構想になかった。また、レール幅はイギリスの植民地に敷くレール幅である。 続けて佐渡金山、石見銀山、高島炭鉱、三池炭鉱などの経営、兵庫や長崎の造船所、東京、大阪の砲兵工場の経営を行った(官営工場)。また輸出基盤を確立するために1872年にフランスの指導で富岡製糸場が設けられた。 A通信 郵便は前島密によって郵便制度が発足し、近代郵便制度が始まった。1877年には万国郵便連合に加入した。 電信(当時は電波は発見されておらず、音声も送れないため、電線を使ってモールス信号でやりとりした。・・・---・・・(SOS)のように)。電信線は1869年に東京横浜間が初めてであるが、1874年には東京-長崎、青森(北海道)と伸びた。とくに、長崎では上海との電信線と接続され、欧米と電信のやりとりをすることが可能になった。 船運会社の経営も行われた。それまで欧米の船によって貿易が行われていたが、これでは欧米に圧倒されるので、対抗のために日本側で会社を作った。72年に官営会社として日本国郵便蒸気船会社が設立され、のちに、三菱の岩崎弥太郎の経営する郵便汽船三菱会社に発展した。 B北海道開拓 日本は日露修好通商条約で南千島(北方領土)までの領有が決まった一方、樺太は日露共有であった。だが、北海道が十分開拓できていない中で、北方の領土に対する権利を十分なものにする必要があった。 そのために、1869年に開拓使を置き、士族授産で開拓を行わせた。同時に農業を行う為に札幌農学校を置き、お雇い外国人としてクラークが招かれた。さらに73年に屯田兵が設置され、開拓とロシアに備えることとした。 C通貨制度 通貨制度の近代化も急務であった。江戸時代までの貨幣制度は複雑なものだったからである。そこで、1870年、通貨の単位を十進法(円、銭、厘)とすることとし、1871年に新貨条例を定めた。建前上金本位制による。 貨幣に対する考え方は、現在の考え方と異なる。 現在の通貨制度は「管理通貨制度」といって、通貨の信頼を政府と中央銀行に置いている。中央銀行は銀行券を発行する。一方で政府は補助貨幣を発行する。1円銀行券しかないと不便だからである。補助貨幣は20枚までしか強制通用しない。 一方、明治期は本位貨幣制度をとっていた。金を本位貨幣とするものを金本位制という。この制度の下では金の保有量と通貨の流通量が等しくなる。金貨が本位貨幣である。一方紙幣は本位貨幣と交換できる兌換紙幣が基本である。不換紙幣は例外を除いて発行されない。 新貨条例は金本位制を採用したが、東アジア貿易は銀本位制で行われているため、政府は開港地に貿易銀を発行し、事実上、金銀本位制となった。しかも金が流出したために、実際は銀本位制となっていた。 また、1872年には政府紙幣が発行された。これは不換紙幣であって、太政官札を回収するためのものであった。 さらに1872年には渋沢栄一を中心に国立銀行条例を定め、翌73年に第一銀行が設立され、銀行券の発行が開始された。 このような中で、三井や岩崎などは政府から特権を与えられて、政商と呼ばれた。これが後に財閥へと発展していく。 |
Posted by hajimet at 21:40
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