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2013年5月7日
文字の導入(1)

韓国語の授業を行うときに、避けて通れないもの。文字。最近は自分で学習している生徒も多くなってきたが、それでも大多数は授業で初めて。実際、日本語はひらがな、カタカナで100文字近く、漢字は中学を終えるまでに2000文字以上学んでいるのだから、24文字のハングルは少しの努力で覚えられるのだが、なかなか現実はそうはいかない(理由はいろいろある)。
 
授業では50音を使って、ハングルの導入をしている。
まず、黒板に生徒の名前を書き(列にいる生徒の名前を書くか〔なるべく特徴ある名前のある列〕)、名表順とする)。生徒に眺めさせているうちに、何となくどの列か分かり、列が分かれば(誰が座っているかは分かるから)、名前とハングルの対象が出来るようになる。
 
その上で法則を探させる。「ト」見たいのが「ア」です。「|」が「イ」だ。中には「フ」がカ行かなという人もいる。そこで、種明かし。続いて表を配り(ページの最後に縮小版を載せます)、埋めていく作業をする。
 
ここでは、わざとg,n,r,d,m,b,sの順にしてある。「アカサタナでなく、韓国語の五十音順です」と言う。かつて、いきなりこれでやると混乱するのではないかと思ったが、今までの所それはない。
 
g-これもわさと「k」としない。理由は二つ。一つは研究会でこれでやっている人がいて、これで生徒が混乱しないことがわかったこと。もう一つは韓国で「gagu」が「ガグ」でなく「カグ」がを説明しやすいように思ったことである。
 
マスを埋めて、「フト」とならないようにと指示、机間巡視をしてから、おもむろに語頭では…という話をする。「韓国人はgと思って発音するが、われわれにはkに聞こえる。kはもう一つあるが、こちらはケンカしているように聞こえる」といって発音してみせる(なぜかは今は言わない)。
 
同じことをd,b,jでも繰り返す。そして、下に『韓国語の語頭は絶対に濁らない』と書かせる。
 
ダ行でヂヅ(韓国語のカナ表記ではジズは使わないようにしています)について説明する。
ズはジュを使うが、ここで「ヅはない」ということを話す。また、清音になる場合は「즈」を授業では使うが(多くの韓国人ネーティヴから指摘があったため)、もちろん「쓰」も紹介。そして「とんかす」。この時の反応で、大体この先の一年間の授業の展開が読める。
 
サ行では「ス」について、ワザと「수」と発音して、違和感を感じさせ、実は違う「ウ」があって「스」とした方が、日本語に近く聞こえると話す。
 
激音の部分には「語中」と書かせる。ワがオとアの合成と言うことを実感させながら、最後まで。
それから、自分の名前を書く練習(わざと、その生徒が書いた通りにハングルを読む。間違えていれば間違えたなりに。そして、何が違うか個別に指導する)。
 
その後は教室の事情によって違う。生徒同士が互いに知らない関係なら、お互いの名前を教えてもらい、ハングルで書く。そのハングルで書いたこと本人に見てもらうとか、こちらからお題を出すとか…。
 
その後、カナダラ順を覚えさせる。激音の所は「死ぬほど息を出す」と書かせる。カではなく、実はまったく別の音であると言うことを意識させるために。そしてカナダラマバサを延々と繰り返し、授業は終了。
 
ここまでで2時間。2時間に納める理由は3つ。
1.途中で中断すると、もう一回最初からやり直す必要がある。
2.これだけで、読めた気になれる。そして、一気に韓国語の原則を話すことが出来る。
 
そにて大事なのは、
3.韓国語授業全体の導入が目的であって、定着が目的ではないこと。あくまでもinputだけ。
 
それぞれの文字を教えて定着を目指すと、それだけで1年かかる恐れがある。これでは教えた方も教わった方も徒労感に襲われる=韓国語嫌いを大量に生産する(実例は大量にあり)。
 
実際に教えていて、ここで根を上げた人はいないという実績はある(最初からやろうとしなければ別)。あとは定着を目指して、色々な方法で畳みかけていく。こちら側で、表向きの目標とはべつに裏目標(無意識に定着、気づかせる)を作ることが大切。
 
生徒には、これだけで実際に読めるようになるわけではない。時間はかかる。しかし、読む努力をしていけば、夏休み頃には突然이이が目に入ったりするようになると言っている。実際に定着し始めるまでに、このくらいの時間がかかるのだ。
 
次回は아야어여へ。アカサタナでやっていたときは、続けて激音の練習だったが、今のやり方では、すでに激音はとりあえず終わっているので、カナダラとアヤオヨの語順の定着に重点を置ける(その後はDVD。한글이 야호、우유송、가나다라송を見せる)

Posted by hajimet at 22:26 | Comments (0)

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