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2007年6月25日
アンサンブル・サクラ 日韓友情コンサート2007

ここのところ、久しぶりに外出が続く。
22日は区議会議員になった知人と会い、議会の話などを聞く。
23日は韓国関係の人々と会う。昼過ぎにいったらもう宴会が始まっていた…。フードライターに会って、著書をいただく。
24日は2週間に1回の鍼灸へ行った後、コンサートへ。
 
アンサンブル・サクラ 日韓友情コンサート2007である。オーボエ奏者を韓国から招いていた。
 
場所は市ヶ谷ルーテル教会。初めての場所だ。定員200人のこじんまりしたところ。小規模のコンサートにはちょうどいいところ。席も前から5番目の中央という、最も良いところが確保できた。開演前など、教会員の方などが、座席などに気配りをしていた。
 
行く前から、どういう演奏になるのだろうと思う演奏会も珍しい。マリンバ、ピアノ、オーボエの組み合わせだ。マリンバ+ピアノ、オーボエ+ピアノは何回も聞いたことがあるので想像がつくのだが、マリンバとオーボエが結びつかない。
 
実際は、すべての曲が3台で演奏するわけでなかった。
 
しかし雨降りである。オーボエの調子が心配だった。チューニングの時、少しリードの調子が悪いのか、音がかすれ気味だった。もっともどちらかというと太めの音の奏者である。愛の挨拶。最初のフェルマータの長さが、絶品。自分で演奏すると長くなりすぎるのだが、このくらいでちょうど流れるのかという長さだった。残念ながら、調子がまだあがっていなかったかな?
 
モーツアルト、ハフナーセレナーデよりロンド。マリンバとピアノでとれも流麗。次の一柳 慧「パガニーニ パーソナル」はパガニーニの旋律が自由に展開していく。変奏と言うよりも断片化したり、自由に転調したりして面白い。故岩城宏之氏のために書いた曲であるが、マリンバが激しく、改めて「打楽器」の一つなのだと思う。続いて尹伊桑の「タルモリ」。オーボエのしっとりした旋律が楽しい。一部の最後は山本純ノ介の「借景U」であった。作曲者は故山本直純氏の息子さんで、雰囲気はよく似ていた。
 
第2部。殆ど初めての曲。西村 朗「アリラン幻想曲」の次に、M,シュミット「ガナイア」。ガーナのリズムがヒントになっているということで、そのリズムを基調に旋律が組まれている。韓国のサムルノリなどもそうだが、聞いていると強烈な陶酔感を覚える。目の前に荒野とサバンナのなかに遠くぽつりとたたずむ象という光景が浮かんでいた。その中で、太鼓を人がたたいている…。なんとなくステレオタイプではあるが。
 
続いて松村崇継の「ランド」。とてもきれいな曲。途中の転調、転調で曲が進行する部分がすばらしく、さらに時々かいま見られる旋律が非常にきれい。最後の部分、作曲家によると曲が「自然に帰る時間を」示しているそうだが、いったいPがいくつついているのだろう。文字通り消え入るように、曲が消えていった。だんだん目の前の光景がかすれていって、溶けるような…。明るさがフェードインして、そのまま暗くなるのでなく、明るさは変わらずに、景色が溶けている。どこかでこの光景を見たように思っていたら、カラヤンがザルツブルグで振ったドンジョバンニの1シーンだった。最後にドンジョバンニが使者に握手したまま連れ去られるところの効果がそうなのだ。だんだん小さくなり、ぼけていって、青い空間に消えていき、そして何もなくなる…シュミットとともに、機会があったら是非、音がほしい演奏だった。
 
ここでオーボエの再登場。尹伊桑の「ピリ」。ピリはダブルリードの縦笛で、太いながらも甲高い音が出る。しかも、尺八に似て、音程の上げ下げができる。西洋楽器ではオーボエが一番近いが、かなり性格が違う。しかし、演奏が始まった途端、ピリにとても近い響きと音程の揺れがでて、驚いた。勿論、本物ほどスムースに音程を揺らすことは出来ないが、ぼーっと聴いていると、一瞬どちらかなと思う瞬間もあった。韓国人で、体でピリの音がイメージ出来ないと、とても演奏できないとも思った。きっと日本人がやると、ピリの音の揺らし方が尺八の揺らし方になるのではないかなどという余計なことまで考えてしまった。
 
演奏する方は大変であったであろう。響きや音程を出すだけでなく、途中で循環呼吸をしている部分もあるし(さすがオーボエ)、重音もある。管楽器は基本的に重音は出せないのだ。しかし、5度に近い響きを出したり、オクターブの倍音をうまく響かせて、きれいであった。
 
つづいて、モンティのチャールダッシュ。マリンバとピアノのみ。よく知られているだけに、最後に肩の力を抜いて聴くことが出来た。それにしても加速感がイイですね。
 
最後にアンコールに「愛の挨拶」。1曲目の時に、なんとなく本調子ではないなと思っていたが、こちらは文字通り絶品。エルガー夫妻が庭で紅茶でも飲みながら、愛をささやきあっている雰囲気がとてもよく出ていた。テンポを前に持って行くところも抑制がきいていて安心して聞けた(1回加速しすぎて音楽がせせこましくなった経験があるもので)。
 
結局3つの楽器がそれぞれきれいに関係づけられた演奏会であった。また、初めての曲が多い割には、面白いプログラムで楽しむことが出来た。特に現代の曲は、なんだか分からないうちに終わることも多いのに、今回はいろいろな情景を思い浮かべながら聞くことが出来た。また、聴きたいものである。
 
追伸:先週の日曜日、カール・ベームの初期のCD(10枚組)とトスカニーニのCD(10枚組)を買ってきて、聴くのに大わらわ。どちらも10枚で2000円しなかったもので、つい買ってしまった。その上、カールベームが1980年に最後に来日したときのフィガロのDVDまで届いて…。フィガロは出演者がすごい。個人的には、このときわれたベートーヴェンより数段上の演奏をしているように思える。

Posted by hajimet at 22:00 | Comments (0)

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