伝桂の池跡
「恋の木」の碑

斉明天皇が朝倉橘広庭宮に遷ったときに、この付近で船遊びの宴をしたところと伝えられる。

この池を舞台に世阿弥元清作の「綾の鼓」、三島由紀夫の「綾の鼓」は、この池に身を投げた朝倉橘広庭宮の女御と、庭掃きの源太じいの悲恋の伝説にもとづいている。

その話とは、「斉明天皇の後の代のこと。朝倉の宮廷につかえる女御に庭掃き番の源太郎老人が恋を抱いた。源太の恋幕に女御は「桂の池のほとりに鼓を置いておきます。その鼓を打つ音が聞こえたら会いましょう。」と老人に伝えた。約束の夜、鼓は桂の池のほとりに置かれていた。源太は、燃える想いを胸に秘めて鼓を打ち続けた。だが、朝あけのほのかなあかりの中、鼓に「綾織りの布」が張られていた様子が見えてきた。この恋は「成らぬ(鳴らぬ)」との女御の謎も解けず、打てど届かぬ「綾の鼓」に女御への恨みと果てしなき思慕を抱きつつ源太は桂の池に身を投じた。さらにその後、女御は毎晩のように源太の夢に悩まされてるいに池に身を投げてしまった(三連水車の里 「あさくら」、現場の説明板を元に作製)。韓国新羅の「影池」の伝説によく似た話である(男女の役割が逆になるが)。

桂の池跡全景 綾鼓演能記念の碑 桂川
    
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