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2005年8月27日
2004年の株式市場を振り返って〜2005年の株式市場の予測

昨年2003年の大納会は、日経平均株価10,67664銭、プラス17602銭。円相場(対ドル)10695銭近辺。

 

そして今年2004年の大納会は、日経平均株価11,48876銭、プラス10720銭。円相場は10377銭〜79銭近辺(一時1ドル10420銭近辺)。
日経平均株価は、前年末の終値と比べて81212銭プラスとなり、2年連続で前年末を上回り、2005年へ希望を託す形で締めくくられた。

 

19931995年以来10年ぶりに、大納会の終値ベースで見て、2年連続で前年末の日経平均株価を上回った。東証の年間売買代金は3431200億円となり、バブル最盛期の1989年の記録3326165億円を上回り、15年ぶりに過去最高を更新した。

来年は酉年。株式市場も干支にあやかり飛躍の年になって欲しいと願うばかりだ。

 

今年1年を振り返って見ると、‘新記録’が次々に生まれた年だったように思う。

 

◆連日の大商い、10億株を超える出来高

3月半ば頃から、日経平均株価が出来高を伴なって上昇する日が目立つようになり、東証第1部の売買高が15億株を超える大商いが連日のように続くようになった。4月に入っても株式市場のエネルギーは衰えず、4月14日の東京株式市場では、鉄鋼株など株価が低位の銘柄を物色する動きが活発となり、東京証券取引所の総売買高(第1部、第2部、マザーズ、立会外取引も含む)は、1949年の東証開設以来最大となった。総売買高は約31億株を上回る大商いとなり、198876日に記録した約286800万株を上回り、売買代金も約1兆円を大きく上回った。さらに419日には東京証券取引所第1部の売買高が、約17億株を上回り、売買高10億株を超えた日は、営業日で37日連続となった。

大商いの背景として、景気回復を裏づけるような経済指標が公表されるにつれて、株式市場そのもののマインドが明るくなり、相場環境が好転してきたことはいうまでもないことだが、その陰にはインターネットを介して、個人投資家がかなり株式市場に参加していることを、改めて垣間見ることができたと思う。

 

◆原油価格の高騰

512日、ニューヨーク・マーカンタイル取引所では、(NYMEX)の原油先物相場が上昇し、WTI(West Texas Intermediate)(ウエスト・テキサス・インターミディエート)6月物が一時、1バレル=40.55ドルまで上昇し、湾岸危機時の終値での最高値40.42ドルを上回った。

513日夕方の時間外電子取引で、指標となるWTIの6月渡し価格が、1バレル=41.17ドルをつけて、湾岸危機時の19901010日につけた取引時間中の過去の最高値1バレル=41.15ドルを抜き、過去の最高値を137か月ぶりに更新。

514日一時、WTIの6月渡し価格41.50ドルをつけてさらに高値を更新。

525日、WTI7月物が、1バレル=41.83ドルまで上昇。

6月1日、WTI7月物が、1バレル=42.00ドルまで上昇、最高値を更新した。

67日、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、原油先物相場が4日続落安となった。WTI7月物が一時、1バレル=37.75ドルまで下落し約1ヶ月ぶりの安値をつけた。

728日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、原油先物相場が続伸し、WTIの期近9月物が一時、1バレル=43.05ドルまで上昇した。このレベルは原油先物取引が始まった1983年以来の過去最高値を更新したことになった。

730日のWTIの期近の9月物が一時、1バレル=43.50ドルまで上昇。

83日のWTIの期近の9月物が一時、1バレル=44.20ドルまで上昇。

84日のWTIの期近の9月物が一時、1バレル=44.34ドルまで上昇。

810日のWTIの期近の9月物が一時、1バレル=45.04ドルまで上昇。

812日のWTIの期近の9月物が一時、1バレル=45.45ドルまで上昇。

813日のWTIの期近の9月物が一時、1バレル=45.90ドルまで上昇。同日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の終値近辺でも原油先物相場が続伸し、WTIの期近の9月物が終値で、1バレル=46.58ドルをつけた。

818日のWTIの期近の9月物が、取引がはじまって直ぐあたりに、一時1バレル=47.20ドルまで上昇。

819日のWTIの期近の9月物が、一時1バレル=48.20ドルまで上昇。

820日のWTIの期近の9月物が、一時1バレル=49.40ドルまで上昇。

927日のWTIの期近の11月物が一時、1バレル=49.74ドルまで上昇。

ニューヨーク株式相場も原油価格の高騰を嫌気し、ダウ工業株30種平均は下げ幅を50ドル近くも広げるほど大幅に値下がりした。

928日のWTIの期近の11月物が、1バレル=50.05ドルまで上昇。

105日のWTIの期近11月物が、1バレル=50.99ドルまで上昇。

106日のWTIの期近11月物が、時間外取引で一時、1バレル=51.48ドルまで上昇。

10月7日のWTIの期近11月物が、時間外取引で一時、1バレル=53ドルちょうどまで上昇。最高値更新は3日連続。

1012日の早朝、WTIの期近11月物が、時間外取引で一時、1バレル=54.45ドルまで上昇。

1014日のWTIの期近11月物が、一時、1バレル=54.60ドルまで上昇。

1017日夜(日本時間18日午前)、WTIの期近の11月物が、一時、1バレル=55.33ドルまで上昇。

1022日のWTIの期近12月物が、一時、1バレル=55.35ドルをつけてきた。

1025日のWTIの期近12月物が、一時、1バレル=55.67ドルをつけてきた。
この55.67ドルが今年の最高値となった。しかも高値原油先物取引が始まった1983年以来の過去最高値を更新した。

 

◆金融政策の変更、米国の階段状の利上げ

128日、米連邦準備理事会(FRB)は、連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表した声明で、現行の超低金利に対して「かなりの期間」継続するという表現を削除した。代わりに、「景気下支えのための政策を取りやめるにあたり忍耐強くなることができる」という表現が加えられた。予想していた時期よりもかなり早い時期に「かなりの期間」継続するという表現を削除した。市場にはかなりの衝撃が走った。

米労働省が42日に発表した3月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者の増加数が、市場の予想を上回り、前月よりも308千人増となった。外国為替市場では米雇用統計を受ける形で、一貫して円高基調だった円買いムードが、ややスピード調整されるきっかけとなった。

米労働省が414日発表した3月の消費者物価指数(19821984年の平均値=100、季節調整済み)は、187.4となり、前月比0.5%上昇した。消費者物価の上昇は4ヶ月連続で、市場の平均予測(0.3%上昇)を上回った。

消費者物価指数は前年同月比でも1.7%上昇しており、米連邦準備理事会(FRB)は雇用の回復状況と合わせて、物価への影響を考慮しながら、これまでの超低金利政策を修正するきっかけとなったようだ。

11月には米大統領選挙が控えているが、選挙前に利上げの可能性も出てきた。

54日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で、現行の超低金利政策を「慎重なペースで解除できる」と明記した。利上げの地均しが整えば、慎重に利上げに踏み切る可能性を示唆したとも受け取れる声明だった。

グリーンスパン議長が就任した1987年以降のデータを分析して見ると、大統領選挙があった1988年と2000年に利上げが実施されている事実があった。

しかし興味深い点は、当時の利上げ局面の初回は春だった。つまり夏以降に利上げ局面に移行した事は一度もない。

そうなると、仮に利上げを実施するとしたら、8月頃までの利上げが一番有力という事になるのかも知れないと言う予測をしていたが、その後、この予測が見事に的中した。

1回目の利上げ

630日、米連邦準備理事会(FRB)が、定例の連邦公開市場委員会(FOMC)で、短期金利の誘導目標であるフェデラルファンド(FF)レートの水準を0.25%引き上げた事により、フェデラルファンド(FF)レートは1.25%となった。
日本で言えば公定歩合に相当する米国の金利水準は、現在のところFFレート+1%となっているが、今回の利上げにより2.25%となった。

2回目の利上げ

810日、フェデラルファンド(FF)レートの水準を0.25%引き上げた事により、1.5%となった。2回連続の利上げ。公定歩合に相当する米国の金利水準2.5%となった。

3回目の利上げ

921日、市場関係者の予測どおり、0.25%引上げた。短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現行の年1.5%から1.75%に引上げた。公定歩合は2.75%になった。

4回目の利上げ

1110日、今回も予測通り、0.25%の引き上げを決定した。FF金利は2%ちょうどになった。これにより米公定歩合は、3%ちょうどになった。

5回目の利上げ

1214日、0.25%の引き上げを決定した。FF金利は2.25%に引上げた。これにより米公定歩合は、3.25%になった。

 

◆長期金利が2%に急接近

617日債券相場では、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時、1.94%まで急上昇した。債券の価格は売られて下落。この1.94%が今年の一番高い金利水準となった。その後は景気減速感から一転して低下した。

 

◆円相場

200415日大発会の円相場は、10695銭近辺。

20041230日大納会の円相場は、10377銭〜79銭近辺(一時1ドル10420銭近辺)。今年は年初よりも年末のほうがやや円高に振れた。

122日、東京市場で円相場が急伸し、一時、1ドル=10183銭をつけた。101円台は、2000年1月以来のこと。

米商務省が1216日発表した79月期の米経常収支(速報値、季節調整済み)が、1.647900万ドルの赤字となり、四半期ベースの過去最大を3期連続で更新してしまった。ドル売り懸念がひろがった。

 

◆今年の話題性

219日、「新生銀行」が、東京証券取引所第1部に上場した。

新生銀行の前身は日本長期信用銀行。1988年に政府は金融再生法の施行を受け、同年の1023日に日本長期信用銀行の一時国有化を決定した。

日本長期信用銀行は経営が破綻し一時国有化されたが、54ヶ月経って株式を再上場することになった。一時国有化された銀行が株式を再上場するのはもちろん初めてのことで市場の感心を集めた。

521日、UFJグループが、傘下のUFJ信託銀行を住友信託銀行へ売却することで合意。しかし714日、UFJグループは、信託部門の売却くらいの策では生き残れないと悟り、傘下のUFJ信託銀行の住友信託銀行への売却を一転、白紙撤回。同日、全く別の三菱東京フィナンシャル・グループに信託部門も含めた全面的な経営統合を申し入れた。住友信託銀行に「独占交渉権」を認める基本合意書を交わしていたことが問題となり、その後、三井住友フィナンシャル・グループと泥沼化した騒動へと発展した。しかし結果は、その後三菱東京フィナンシャル・グループ・UFJグループはトップが仲良く統合発表。統合が実現したら総資産190兆円は世界最大規模となる。

112日、4年ぶりの米大統領選挙で、ブッシュ大頭領が再選を果たし、混迷していた株式市場が持ち直すきっかけとなった。

1126日、金のドル建て現物価格が、19886月以来165ヶ月ぶりに1トロオンイス=450ドルを超えた。

 

◆来年2005年の証券市場の予測

2005年への課題としては、やはり米国の経常・財政収支の赤字という‘双子の赤字’が再び懸念材料になることは避けられそうもないだろうと思う。瞬間風速的にドル安が加速し、円が1ドル=100円を超えるところまで買われることも覚悟しておいた方がよいのかも知れない。

 

ただ、私自身としては、米国の経済はそれほど悪いという実感もなく、むしろ2005年は米国の経済の底堅さが実感できるようになるのではと思っている。利上げがさらに継続されることも予想されるし、ますます日米金利差がひらいてしまいそうな懸念もしている。為替政策だけで、米国の経常・財政収支の赤字を減らすことは無理難題であることは、過去の経験則通りだと思うので、それほどドルがどこまでも売られるということは想像していない。

 

一方で、2005年は、日本の金融緩和の出口を探る年になるのではと思っている。もともと金融緩和政策は、銀行の不良債権処理を進めるために取られた緊急避難的な措置だったと思うので、2004年に懸案だった銀行の不良債権処理にも一定の目処が立ってきたようだし、そろそろこの異常な低金利を解除しても良いのではと感じている。

 

企業業績もかなり良くなってきている数字が出ている割には、2004年は思ったよりも株価に反映されなかったように感じる。2005年は世界的な株価上昇の中でぽつんと取り残された日本株が買われる流れになるのではと予想している。

いずれにしても景気は横ばいから、そろそろ上向きになって欲しいと願っている。(2004年12月31日)

 

 

 

 

 

Posted by fpgarden at 12:21 | Comments (0) | TrackBack (0)
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