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5.公的民族資料の限界?
今回の旅行で訪れた少数民族は余りにも多いので、各民族の歴史的違いを少し調べて見たかった。しかし旅行案内書的な書籍ではそれらは簡単にしか記されていない。

ネットサーフィンしていて「ベトナム文化研究院」のサイト(http://www1.linkclub.or.jp/~yaksa/)を見つけた。その中で「ベトナム国立民族学博物館より提供された資料の翻訳」として各民族の紹介文があった。
しかしここでも少数民族の歴史的なことはそれほど詳しく記されていない。

少数民族の歴史は多くの場合、優勢民族の迫害を逃れて移動し、その移動途中で不便な山谷(即ち安全な場所)に分派しながら平家の落武者部落のように住み着いた結果である。そして民族の誇りは失わず、辺境ゆえに民族の伝統を守り伝えることが出来た。

「ベトナム国立民族学博物館」のような政府系の機関では民族対立の歴史の記述はカモフラージュされているかも知れない。
今更過去の民族間の争いの恨みを掘り返したり、どの民族がどの民族に隷属していたかを露わにして自国内の民族対立を煽っても、ベトナム国として良いことは何もない。また近隣国(特に漢民族)に迫害されたことを強調しても、外交上得策でないかも知れない。

このような政府系の公式資料が色々な文献に取捨選択コピーされているので、過去に少数民族が迫害されて移動した歴史は、多くの文献で一般論的な記述になっているのだと思う。

この博物館の目的は、10年〜15年前からの強力な国際化のプロセスの中で、経済・社会の発展および民族間の交流が急速に行われ、多くの伝統的な文化遺産が埋没しつつあるため、ベトナムのすべての少数民族の物質面や精神面の文化的価値を守り普及する任務を帯びて建設されたと言う。
この博物館は訪れて見たかったが、ツアーのメニューに入ってなかったので残念である。

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                            平成17年10月29日 記