随想:幼少期へのタイムスリップ
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3.玉川上水を訪ねて(5)
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当時の家族5人
飛行機を持っているのが私
昭和19年、父に召集令状が来た。召集の意味も幼い時期なので分からなかったが出征する前の日、一家で練馬の「豊島園」に遊びに行った。暗澹たる社会情勢の中、インテリであった父と母は出征を前に言葉には表せない複雑な気持があったであろう。

だけど翼賛体制下で子供にもその不安と不満の話は出来なかった。またされても何も理解出来なかっただろう。何時もと同じ遊びに行く気分で豊島園に行った。

豊島園ではウォタースライダーの様なものに乗った。弁当を池のほとりの芝生の上で家族揃ってたべた。

あまり話しは弾まなかったように思う。私自身はもっと一杯遊べると期待していただけに不満であった。

家に帰って夕食の時「豊島園はどうだったか」と父に聞かれたので「もっと遊びたかった」と答えた。複雑な心境の両親には悪いことを言ったと後悔している。

これだけの記憶が一時に蘇るのは、やはりその土地に居るという一つの特殊な暗示があるのだろうか。玉川上水では涙ぐむこともあった。  (続く)