随想:幼少期へのタイムスリップ
3.玉川上水を訪ねて
玉川上水(小平市内)
小平市は「のがわ」の源流がある国分寺市の北側の市であり、自転車で直ぐである。
市を東西に縦断して玉川上水が流れている。玉川上水は案内表示板によると、今から330年前の徳川幕府の時代に構築された大土木事業で、多摩川の水を江戸に引き込み江戸の水不足対策と上水の経路一帯の潅漑に役立てたと言う。
この玉川上水を小平市より西に遡ると、立川市、昭島市、福生市を縦断し、始点として羽村市に多摩川から水を取入れる羽村堰堤がある。一方玉川上水を小平市より下ると、小金井市、武蔵野市、三鷹市、杉並区を通り四谷からさらに江戸城とその周辺まで引かれていたとのこと。全長43kmの大水路である。
自然を利用し自然と共存した見事な発想の水路である。建設時の周囲の自然は広大な武蔵野の原野であったが現在は全て市街地となってしまった。
複雑な武蔵野の丘陵地形で水をスムーズに流すために水勾配は一定にする必要があり、そのためこの辺りの玉川上水はかなり深い。
その深く掘られた水路の側面には300年の歴史を持つ樹木が生い茂り、両岸は桜並木や栗の並木が形成され快適な散策路である。ただし一歩この並木から外れると喧騒の市街地が広がっている。玉川上水は不思議な空間でしかもこれが東西に延々と続いている。
(続く)