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土盛りされた道路
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写真−100〜102
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生活道路 生活道路 生活道路
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生活道路は、その場所と重要性により、土盛高さを変えている
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構造物はすべて高台の上に建設‥‥
幹線道路・生活道路は、その重要性と地形により、水田(畑)面よりも高く土盛りされて作られている。例えば小さい生活道路(左写真)は畑面より70cm高く、、少し大きな生活道路(右写真)は畑面より2m高く、国道は3m高く、と言った状況である。鉄道(前ページ)に至っては6〜7m高くなっていた。洪水氾濫期には、鉄道の線路だけが延々と水面に顔を出している光景が続くのであろう。

洪水氾濫域の農村地帯で一番高いところにある建造物は橋である。橋より少し低いところにある村落も高台の上にある。土塀の農家は、盛り土の上に建てられている。

夏のモンスーン最盛期になると、平野部は河川が溢れて広大な水面となるため、住居は氾濫水位よりも高い所に作らなければならない。または洪水の水位によりベッドの下にレンガを置き、ベッドを嵩上げすることになる。室内でも水上生活である。

乾季になると水が引き、地面にはあちこちに大小の池が出現する。こうした池を掘り広げて、その土は盛り土に使い、広げられた池の水は乾季の飲料や冰浴、小規模な潅漑用水の主要な供給源となる。

日本の木曾三川(木曽川・長良川・揖斐川)の下流域には、鎌倉時代から、「輪中」という堤防で囲まれた構造、あるいは集落があった。河川堤防の発達した現在では、「輪中」は不要となったが、この防災思想はバングラデシュの光景と同じである。

日本の「輪中」は比較的小面積の範囲を洪水から守っていたが、バングラデシュの規模は比較にならない程に大きい。例えば、 20,000ha近い氾濫地域を、延長80kmの大小の水路と輪中堤で囲み、数ケ所の大型ポンプで潅漑・排水をして水田化し、20余万人の農・漁民の生活を改善するといった大規模なものである。

しかし、治水・水資源対策のー環として実施してきた「輪中堤」(土盛りされた堤防道路)が、逆に水の流れを妨げ、地域の水環境を大きく悪化させる場合もある。従来は乾季でも水が十分にあっが、現在では堤防道路に堰きとめられて、需要に追いつくだけの水量を確保することが困難になっているところが、あちこちにあるとのこと。1947年の(東)パキスタン独立時にはわずか12k mだった堤防が、1980年代後半には総延長7555kmにも及んでいる。

必要と思って作ったものでも逆効果の場合がある。土木計画とは、高度な洞察力が必要と改めて思う。