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洪水対策
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写真−97〜99
2010_2_26
鉄道線路は7mほど嵩上げされている →
鉄道線路 洪水の避難所 街の道路
小学校を、サイクロンによる洪水の避難所にしている
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街の道路も4〜5mほど土盛りされている →
2010_2_26
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恐ろしいサイクロン‥‥
モンスーン季の降水に加え、バングラデシュはベンガル湾上で発生する大型サイクロン(4〜5月と9〜11月)に襲われる。恵みのモンスーンに比べ、サイクロン(台風)は「招かれざる客」である。サイクロンはしばしば高波・洪水を伴い、一時的な被害にとどまらず、森林破壊、土壌劣化、浸食等を引き起こし、多くの被害を国土に及ぼしている。毎年数千・数万の人々が、洪水や川の浸食によって土地と生計手段を失っている。洪水災害は、都市のスラムや不法住居で暮らす数多くの「気候難民」を生み出している。

サイクロンで被害が大きくなる原因としては、日本のように台風情報技術が発達しておらず、情報があっても農作業中の農民に伝達する方法がなく、また逃げ場となる高台が近くにないことなどによる。このため、国際援助で高床式の避難小屋が建てられてはいるが、広大な国土をカバーすることは出来ない。

バングラデシュはその地形的条件より、毎年のように国家的大災害である洪水に見舞われている。最悪となった1970年は、被災者50万人のうち死者は22万人となった。1987〜1988年の洪水では国土の40〜85%が冠水し4500万人が罹災するという大災害になった。1991年にも死者13万人という記録的な被害があり、1998年の洪水では、国土の約70%、首都ダッカも冠水した。この年の洪水では、7月から2ヶ月にわたり、罹災者2300万人、全土の道路12000kmと堤防4200kmが損壊し、都市を結ぶ幹線道路が冠水した。一般に、「自然災害による1人の死亡者の陰には約3,000人の被災者が存在する」といわれているので、年によっては国民全体が洪水の影響を受けていることになる。

洪水の原因は、その地形的な特徴にある。国土の50%以上が海抜7m以下、80%が三大河川の氾濫地帯であり、台地は8%、丘陵地は12%に過ぎない。