ミヤマクワガタ
産地 日本
体長 ♂42〜79o ♀25〜43o
ミヤマクワガタは、北海道から九州にまで分布する。名前のミヤマとは深山の事であるが、 必ずしも山奥に棲む種類ではなく、 標高の低い山や丘に居る事も珍しくはない。 普通種ではあるが、昔から人気の高いクワガタである。
飼育について
ミヤマクワガタの飼育は、ごく最近まで最難関とされていた。まず、産卵させる事が難しく、運良く幼虫を回収出来たとしたとしても蛹化する際に死亡する事が多かったためである。 しかし、 昨年来昆虫フォーラムで成功例が相次いで報告されるようになってきた。それらによれば、ポイントは
1.産卵の条件として20度程度の気温である事が必要である。
2.幼虫は酸欠に弱く、特に蛹化〜羽化の際には要注意。
である事が判ってきた。
1については、エアコン等の設備を常時稼働させる事が出来る環境があれば採集後すぐにでも実現出来るが、一般家庭においてはなかなか難しい。このため、気温が下がる9月下旬頃まで♀を生かして置く必要がある。しかし、これがまた大変で、
ア.大型の♂との同居は避ける。
イ.ひっくり返った時に足場となる木片等を入れてやる。
ウ.乾燥が大の苦手である事から頻繁に霧吹きで直接身体に水をかけ てやる。
等のケアを必要とする。
また2の対策としては、
ア.蛹化が近づいた幼虫は、通気が確保出来るようマットを緩めにかつ 8分目程度まで詰めた瓶に移す。
イ.蛹化後は蛹室の上部までマットを取り除くか人工蛹室へ移す。
などが提案されている。
だんだんと飼育のコツが判り始めてきているが、手間の掛かる事には変わりないようだ。
トピックス
ミヤマクワガタについての昆虫フォーラムの情報を別項にまとめてみた。次のページをご覧下さい。
写真は61.5oの採集個体(京都産)。 大顎の第一内歯の発達した富士型である。この大顎の形は、幼虫から蛹にかけての環境温度により変化するという。温度が低くなるにつれ、基本型、蝦夷型へと変移していくらしい。
ミヤマクワガタの蛹。キッチンタオルで作った人工蛹室へ移している。この個体は菌糸で育てたが、腹部に比べて頭部の発達が悪く、アンバランスな印象を受ける。ミヤマクワガタを菌糸で育てると、こういう結果を招きやすいらしい。
ノコギリクワガタ
産地 日本
体長 ♂32〜74o ♀25〜38o
北海道から沖縄まで分布する普通種であるが、 湾曲した大顎のラインが美しく、ミヤマクワガタと並んで人気の高いクワガタである。日本に住むノコギリクワガタのうち、 南西諸島に分布するアマミノコギリやトカラノコギリ、八丈島に分布するハチジョウノコギリなどは、本土ノコギリとは別の種類として分類されている。
飼育について
飼育は比較的容易で、 湿度をやや高めに保つ事がポイントのようである。 産卵はマット産みが基本であるが材産みもある。マットはなるべく目の細かいものを選ぶと良いようだ。
トピックス
夏に羽化した個体の多くはそのまま休眠に入り、 翌年初夏に活動を始める。 しかし、 中には羽化直後から活動を開始するものもあり、 その場合は秋にかけて産卵させることも可能である。 ただし、その個体の寿命はごく短かい。
愛媛産の両歯型のF1個体。ノコギリクワガタの発現型として先歯型、両歯型、原歯型がある事は良く知られている。
写真はトカラノコギリクワガタのF2個体。昆虫フォーラムで里子に頂いた個体からの累代である。 本土ノコギリとは別種として扱われるが、より力強い印象を受ける。 この写真では良くわからないが、 鮮やかなオレンジ色が印象的であり、世界でも最も美しいクワガタの一つと言っても良いのではないだろうか。
ノコギリクワガタとミヤマクワガタは代置関係にあるようで、通常両者が混棲する事はない。しかし、場所によっては同所的に見られる事があり、その場合発生時期がずれるなど時間的な棲み分けが行われているようである。どちらかというと、ミヤマクワガタよりも環境の変化に強いクワガタであるらしい。
ネブトクワガタ
産地 本州〜八重山諸島
体長 ♂14〜33o ♀14〜25o
飼育について
北海道を除き、ほぼ全国に分布する小型のクワガタ。しかし、狙って採ろうとすると意外とどこに居るか判らない種類である。 図鑑によれば樅の樹液に来るとあるが、京都ではクヌギやコナラの樹液で採集している。
ネブトクワガタの飼育に関してはすでに権威が存在しており、飼育方法も確立されている。それによると、幼虫に与えるのはオオクワガタなどの喰いカスマットが良く、一旦乾かして雑虫を殺したあと使用するのがコツのようである。また、産卵セットにも同様のマットを使う。材産みはしないが、産卵促進の為には材も一緒に入れておく方が良いようである。
トピックス
ネブトクワガタは、 ごく小型の種類であるためか、 あまり一般受けする事はない。しかし、根強いファンも存在し、昆虫フォーラムでもしばしば話題に登場する。昆虫フォーラムには、プチクワの会というのがあり、スジクワガタより小さいクワガタの愛好者の集まりである。ネブトクワガタについても飼育、採集に関する情報をやりとりする場となっている。
写真は京都産。大顎の2本の内歯が独特で、小さいながら格好の良いクワガタである。
キンオニクワガタ
産地 対馬
体長 ♂20〜38 ♀10〜26o
日本では対馬にだけ分布するクワガタ。朝鮮半島には沢山棲息するらしい。生態はあまり判っていないが、樹液に来る事もあるようだ。
飼育について
専門のショップなどでは繁殖に成功した例を聞くが、どういう方法かは報告されたものがない。我が家でも幼虫を購入し、 ♀を1頭羽化させただけに止まっており、詳しい事は不明である。
トピックス
乱獲が祟って現地でもあまり採れなくなっているようだ。材割り採集が中心だった事を考えると当然の結果とも言える。どこかで生き延びている事を祈りたい。
我が家で唯一羽化した♀。寿命が短いらしく、繁殖は短期決戦になるようだ。
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