多島海
統営の海岸

朝鮮半島の黄海側南部と朝鮮海峡(韓国では大韓 海峡)側の海岸線は非常に複雑で、多くの島が分布している。そのために多島海と言われる。これは、リアス式海岸といわれる地形のためである。このような入 り組んだ地形のため、韓国の海岸線は意外と長く朝鮮半島だけで8693q、島も入れると17369qになる(日本は全体で33889q)。

朝鮮半島は日本海側から徐々に黄海側に向かって 低くなり、そこをほぼ並行に谷が刻んでいる。この谷は現在の海面より下まで続いていた。氷河期の影響である。

今から約1万8千年ほど前、氷河期の影響で海面 が100メートル近く低くなった。黄海はなくなり、そこを黄河や漢江などが流れていた(韓国では大漢江という)。そこへ向かって削られた地形が、今から 6000年後土前までに高くなり、水没してしまったのである。そのときの高かったところが島となって残っている。

黄海では潮流と河川との関係で島の間が土砂で埋 まり、干潟になった。一方、河川の少ない全羅南道から朝鮮海峡にかけては多島海となった。現在閑麗国立公園などとなり、遊覧船も出ている。これらの中で、 統営はとくに景色が良いことで知られ、東洋のナポリという別名もついている。

海峡部分は海流が早いが、湾の中は穏やかであ る。また湾は谷が溺れたため深く、船運に有利である。

その様な地形を利用して、馬山は早くから地域の 中心となって発達し、現在は隣の昌原とあわせて工業地域となっている。馬山は元寇の拠点となり、その後倭寇にねらわれた。近代に入ってからは日本とロシア の領事館が置かれたこともあるし、ロシアが租借しようとしたこともあった。この近くの鎮海は日露戦争の時の拠点として使われ、対馬沖会戦はここから戦艦を 出した。

リアス式海岸を利用した馬山 閑麗公立公園、小毎勿島 小 毎勿島より本土を見る(遙か遠く)
  
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