干潟の多い黄海
<仁川空港のある永宗島からソウル市内にはバスで 行かなければならない。バスはすぐ左手に海を見ながら走るが、干潟になっていることに気がつく。

特に本土に渡る手前は両方干潟になっていて、澪 筋以外は、大潮の時以外は水没しないほどに累々と土砂が積もり、その上に七面草などの水生植物が生えている様子が目にとまる。その一部は干拓もされてい る。

韓国の黄海側は干潟が発達していて、韓国全体の 3%の面積になるほどで、人によっては世界三大干潟の一つだとすらいう。特に京畿湾一帯は干潟が発達していることで知られる。

黄海は世界でも一二を争う干満の差の激しいとこ ろで、仁川港では大潮の時に8メートルを超える。小潮の時も3.5メートルある。この干満の差は南に行くほど緩やかになり、日本海側はほとんど干満の差が なくなる。ちなみに大潮 の時、東京では1.5メートル、日本海側では10p前後である。太平洋側でできる潮干狩りも日本海側ではできない。

これほど潮位差が激しいと、海の水は満ち引きの たびに早い川の流れのように流れる。そのため、川から流れ込んだ土砂はかこうに積もることができずに、引き潮で沖に流されてしまい、軽い粘土などが水中に 漂うこととなる。この粘土が、今度は満ち潮の時に島影などの波の穏やかなところに溜まり、干潟となるのだ。

黄海側は地盤が沈んでできている地形だから、島 も多く干潟ができやすい。そこに漢江や臨津江のような大河川が流れているから砂も大量に供給される。実際にこの付近の海はこれらの土砂でとても濁っていて 「なるほど、まさしく黄海だ」などと誤解を与える元となる。

以前から、このような干潟の一部を囲って水田としてきたが、 1980年代より特に都市の近くでは、農耕地や工業用地に大規模に干拓が行われるようになった海の一部を堤防でしきって淡水化した始華湖では水質汚濁がお こるなど、様々な環境問題が起きている。
 
京畿湾の干潟 江華島側を見る
(川空港へのバスより)
本土と永宗島に広がる干潟
遠くの島は江華島(同バスより)
仁川港では閘門を作って船を止める
(戦前の絵はがき「朝鮮大観」より)
 
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