浸食と川が作った平野
今は羽田からだけになったが、かつてのソウルの
国際空港、金浦空港は、都市の
中ではないような印象を与える場所にあった。金
浦空港は空港から町に出ると、漢江にでる
まですぐ目の前に低い山が迫っているからである。
また、空港に到着する前、窓から見える景色も進
入のしかたでかなり印象の違う
ものだった。金浦空港に着陸する飛行機は風向きによって二つのルートから空港に侵入する。
(1)ソウル南方の冠岳山上空からソウル市内を
右に見て、光明市上空を飛んで
着陸するコース。
(2)仁川空港上空で旋回して、江華島南方から
漢江に沿って着陸するコースで
ある。<
(1)から着陸するときはそれほど高くない山を
左右に目にしながら着陸する。
(2)のときもそれはあるが、漢江の沿岸を飛んでいるためか、比較的平らで、水田が眼下に広がっている。
朝鮮半島の平野は川沿いに広がっている。金浦空
港のあるところは金浦平野であ
るが、(1)のコースは長いことかけて浸食されて低くなった地形のため、丘陵のような低い山が残っているところである。この辺の土は、もとの岩である花こ
う岩が風化した赤い色の土をしていて、畑や園芸農場として使われている。
一方、空港から海側の平坦なところは漢江などの
川が運んできた土砂が積もって
できたところで、肥沃名土地となっていて、水田などに利用されていることが多い。これらが両方混ざり合っているような所も多く、広々とした水田の中に取り
残されたように小山があるところも多い。
韓国の代表的な平野はこのように大きな川沿いに
作られていることが多く、その
まわりが山や海に区切られている。一方、韓国の平野は日本の台地にあたるような地形はあまり見られないようだ。
日本の平野の多くが、山に囲まれた海沿いにあ
る。、この地域は今でも土地が急
速に沈みつつある。その上に隆起する山からどんどん砂が運ばれてきて積もっているのだ。台地は遙か昔にこのような砂などが積もってできた平野が隆起して高
くなったところである。武蔵野台地は多摩川の、牧ノ原台地は大井川の扇状地だし、成田空港のある下総台地は海底が隆起した海岸平野がさらに隆起したもの
だ。平野のできた条件もかなり違うのである。
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浸食された平地。地面の下はすぐ花こ
う岩で
白く見える。そのまわりは風化した赤
い土
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周囲は削り残された低くなだらか
な山
が続く
(ソウルから仁川空港に向かうバスよ
り)
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