穏やかな韓国の川
ソウルを流れる漢江は幅が1キロを越える大河川
である。ゆったりと流れている。日本の川がまるで滝のような勾配を持っていることと大きくちがい、勾配が緩やかなためである。これは朝鮮半島が古い大地の
ために、ほとんど浸食が終わってしまったからである。
新生代になってから日本海側が高く
なる運動が起きたが、これも川の流れを変えるほどの勢いではなかったようだ。高くなる前に、川は平らなところを蛇行して流れていたはずだが、蛇行の形を残
したまま谷が彫り込まれてしまった。このような状態を嵌入曲
流という。飛行機から眺めると山の中をうねうねうねっている様子がよく分かる。
もちろん日本にもあるが、若い谷は(特に何もな
ければ)直線に近い流路になる。
このような関係で、朝鮮半島の幅に比べて流路の
長い川が多い。特に鴨緑江、豆満江、漢江、洛東江、大同江、錦江は六大河川といわれ、長さも400キロを超える。
流れが緩やかということは川が運ぶ土砂の量もそ
れほど多くないと言うことである。そのため、大きな川の流域でも川の土砂が積もってできる平野、扇状地などはそれほど発達していない。そのかわり船がかな
り奥まで上がることができるので、船運には適していた。
気候と関係するが、朝鮮半島は降水量の季節差が
激しい。年間を通じての流量の差が大きい。微妙な条件の違いによって渇水になったり、大洪水になったりする。日本の河川も季節での流量の差が大きいのだ
が、日本よりも降水量が少なく、季節差が大きいのだ。
そのため、ダムを作ることも考えられるが、川の
勾配が少ないことがネックとなっている。大きなダムを作ると水没範囲が広くなってしまうのだ。南漢江の忠州湖や北漢江の春川ダムなどがそうである。また、
水力発電も行いにくい。また、洛東江、錦江などの河口には河口ドックや防潮堤が作られ水資源を確保しようとしているが、必要な水資源を確保するまでには
至っていない。