盆地と山脈

ソウルもそうだが、韓国には山に囲まれた都市が多い。日本も同様で、奈良、京 都などもそうである。これらは盆地と呼ばれる。日本での盆地は断層に挟まれて低くなり、そこに土砂が溜まったところが多い。地盤は弱い。

韓国の場合、その様な盆地でなく、長いこと大地が削られる中で、弱いところが 先に削られた後なのである。

そのため、地盤は岩が露出していることが多い。ソウルでも工事現場を覗くと、 すぐ岩となっている様子が目にはいる。このようなところのため、地盤が固く、大きな建物を建てるときも地質調査の必要性が低い。



このように、浸食のスピードに差があるためにできる地形が朝鮮半島に多い。太 白山脈などの骨組みとなる山脈からのびる山脈が、韓国では北東から南西、北朝鮮では東北東から西南西にのびているのも、弱いところに川ができて浸食された ためである。削り残った部分なので比較的なだらかで、山脈を越えての交通の阻害も比較的少ない。

ソウルから釜山まで京釜線に乗ると、車嶺山脈を越えて大田へいくが、それほど 山が迫っている感じにならない。一方、大田から大邱の間は脊梁山脈である小白山脈を越えるので、勾配もきつくなりトンネルも多く、いかにも山間の感じがす る。これは山地の性格が違うからである。

一方、日本の盆地は断層によってできているから、山地の出口にできる。そのた め、川から流れてきた土砂が溜まって、扇状地になっていることが多い。山梨県の甲府、長野県の松本などはその様にしてできたところだが、そのために地下水 が豊富で、水の質がよいことで知られる。しかし、韓国では扇状地はそれほど発達しない。盆地が山の出口でないこと、浸食が進み川の傾斜が穏やかなことなど に原因がある。

青が傾動地塊による山脈、黄緑が浸食による山脈
 
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