冬柏(=つばき)島(対馬も見える島)
「♪ 椿咲く春なのに・・・」日本では演歌歌手として知られている趙容弼(チョーヨンピル)の代表的な歌、「釜山港へ帰れ」の出だしである。日本語では恋人同士の別れの歌であるが、韓国語ではこうなる。
「♪ 花咲く冬柏島に春は来たけれど、兄弟の行った釜山港は鴎だけが悲しげに泣いているね」。日本へ行ってしまった会えない兄弟のことを題材にした歌なのである。
冬柏島は釜山近郊の海雲台(ヘウンデ)海水浴場の近くにある。陸とつながっている小島で一面に椿が植えられている。この島の先端から対馬が見えるそうである。ここから対馬を眺めながらこの歌を歌っていることを考えると、想像以上に「悲しさ」が伝わってくるように思える。現実にすぐ目の前に見える日本へ行ってしまった兄弟に会えない、そういう悲しさを歌う歌になるからである。なお、椿は韓国の南部でしか咲かない。