アム・ダリア
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写真−54
アム・ダリア
キジル・クム(ブハラ〜ヒヴァ)
2003年7月23日
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アム・ダリアとアラル海 ‥‥
砂漠の中の幻想的なアム・ダリア。後方の青色は小さな湖。  
アム・ダリアとはヒンズークシュ山脈よりアラル海 に流れる大河のこと。

バスがヒヴァ州に近付くと、暫くはアム・ダリア(アム川)と平行して走り、やがてアム・ダリアのダム堤防上をバスは通過する。アム・ダリアはヒンズークシュ山脈を源流としてアラル海に至る大河川であり、歴史にもしばしば登場している。川岸の高台からアム・ダリアを眺めたが、キジル・クム(赤い砂漠)を延々と走った後の幻想的な光景であった。ウズベキスタンにはこの他に天山山脈を源流としてアラル海に至るシル・ダリアがあり、この川はタシュケントからサマルカンドへの途上で橋梁を通過した。

さて、アラル海は「20世紀最大の自然破壊」と言われている。アラル海は1960年代には琵琶湖の100倍の面積を持つ豊富な漁場の湖であった。しかしソビエト政府はアム・ダリアとシル・ダリアの水を潅漑用水として砂漠に広大な綿花畑や大麦他の農産物の畑を作った。そのためアラル海に注ぎ込む水量は激減し、シル・ダリアに至っては砂漠の途中で消失してしまうまでになった。現地ガイドの説明によると、現在アラル海はその大部分が消失し、やがては完全になくなろうとしているとのこと。アラル海の面積の減少と共に塩分濃度が濃くなり、干上がった湖面には塩と農薬が堆積した。風が吹くとこの塩と農薬が飛散して周囲を砂漠化し、深刻な健康被害を周辺ひろく及ぼしていると言う。

我々は日本の東北の農村地帯のような牧歌的な風景の中をバスで延々と走ったが、それはアラル海の犠牲の上に成り立っていたのである。アラル海を救うためにはこの田園風景を元の砂漠の風景に戻せば良いのかも知れないが、綿花は国の主要産業であり多くの農民が関与しているためそれは出来ない。人間の逞しい生産活動と自然のバランス破壊の好例をこの地でかいま見た。