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4.砂漠の中の大工事
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 タクラマカン砂漠は東西約2,000km、南北約600kmの日本とほぼ同一面積の流砂砂漠である。この砂漠を南北に横断する砂漠公路を南端(出口)から北端(入口)までバスで走行した。前後の道路も含めると約720kmを12時間半で走破した。大変な経験である。
 
 この砂漠公路は油田の開発用として1991年から建設が始まり、1995年に完成した。そして1997年に一般に開放された。総建設費は7億元(約100億円)とも聞いたがはっきりは分からない。通常の高速道路より単位長さ当たりの建設費は高いと言う。遥か5,000km東方の上海までパイプラインを施設するとも聞いたが、現在は恐ろしく古めかしいタンクローリ車が走っている。
 
 道路が流砂で埋もれないように、道路の両側に30〜50mの幅で網の目状の葦(方草格)が砂の中に差し込まれている。葦は庫爾勒(コルラ)から運んだと言う。運搬距離は遠い所で約600kmある。砂漠公路の流砂部分が500kmとして、道路の片側を40m(両側で80m)の幅で葦を敷き詰めたとするとその面積は40,000,000m2となる。これは東京ドームの建築面積の約900倍である。この葦のメンテナンスを毎年行わないと道路は埋まってしまう。当然道路の砂掃除も絶えず行っている。作業現場に辿り着くだけでも大変である。安い労働力を大量に使えるからこそ建設と維持が可能だったとしか考えようがない。万里の長城を建設した民族である。
(なお帰国後に雑誌で見たが、この砂漠公路の両側を緑化する計画があるらしい。そういえば砂漠公路の数箇所で井戸を掘って水を流していた。多分緑化の準備工事か試験工事の一部分であろう)
 
 この砂漠公路以外にも今回の旅行では2,000km以上のいわゆる土漠(ゴビ砂漠と言う)や山岳部を走った。殆どの部分が舗装されているが、そうでない部分は現在猛烈なスピードで工事中である。その区間はバスがまるでラクダに乗ったような状態になる。中国人はスローガンが好きである。工事現場には旗が立ち並び、「百年大計」「安全第一」「質量第一」「予防衛生」などのスローガンが並んでいる。
 
 さらに砂漠や山岳部の道路に沿って光ファイバーの架線工事や埋設工事が至る所で進められている。電柱間に張り渡されたワイヤーに一人でぶら下って軽業師のように光ファイバーを懸架していた。砂漠の中の中継所はソーラ電池で作動させている。
 新疆から北京に電話が繋がりにくいのは過去の話になりつつある。
 
 電線も張り巡らされているが、この電線は細い架線が延々と続き何となく頼りなく見える。実態はバスで走るだけでは分からない。
 
 道路工事も光ファイバー工事もその量と建設スピードは生半可なものではない。中国政府の新疆に対する力の入れようが伺われる。現地ガイドが「前回訪れた時と変わっている」と絶えず発言していた。
 
                                        続く
 
                                        2003年10月5日 記