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テレビ番組
視聴評論
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NHKスペシャル 旧シルクロード
放映日 2005/7/17
執筆日 2005/7/18
「西域南道2000キロ」 を視聴して
(本稿は、別途開設しているブログ “「新シルクロード」雑感” より転記したものです)
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7月と8月は「新シルクロード」の放映はなく、25年前の「旧シルクロード」のみである。昨夜は旧シルクロードの「西域南道2000キロ」がNHK総合テレビで放映された。

この番組では「ミーラン→チェルチェン→民豊→ニヤ遺跡」と紹介されたが、私が2年前に西域南道で訪れた箇所は「ヤルカンド→ホータン→民豊→砂漠公路」なので一致する場所は民豊しかない。民豊の博物館ではニヤ遺跡から出土したミイラなどを見学した。なお民豊ではかなり粗末なホテルに宿泊したがその印象記を当時私のホームページに書いておいた。

テレビの旅行関連のドキュメンタリー番組を視聴して楽しいのは、その番組により行ったことのない土地の仮想旅行が出来ることだと思う。

最近の旅行番組の風潮として、出演者やアナウンサーがはしゃぎすぎることは以前にも述べた。立体中継などと称してタレントをあちこちに配置し所定の時間内に名所旧跡を効率よく紹介する。そしてアナウンサーが関係ない話題で延々とはしゃぎ回る。
このような企画は豪華な番組には違いないけれど押しつけがましい感じがする。はしゃぎ回る出演者やアナウンサーを観るためにテレビを観ているのではない。対象地域の風景・風俗・歴史を観るためにテレビを観ているのである。旅行の苦労は画面を観れば自ずと伺える。
テレビ画面で“るるぶ”的に名所旧跡を案内されるよりも、むしろ淡々と名所や歴史を紹介してもらった方がその土地に対する憧れは増加し私には好ましい。むしろ民放の方に格調高い旅行番組がある。

25年前の「旧シルクロード」の時代は未だアナウンサーがはしゃぐ時代では無かったので、昨夜の「西域南道2000キロ」では厳しい西域南道の砂漠の走破を淡々と紹介していたが秘境の雰囲気と郷愁は十分にあった。これこそ私が若い頃にシルクロードに憧れた雰囲気である。この点「新シルクロード」も出演者がはしゃぐ傾向はないので安心している。
私が違和感を持つのは以前放映されたドナウ河に沿った名所の紹介番組や、現在放映中のイタリアの紹介番組などである。

同じ事は番組の背景に流れる音楽にも言える。旧シルクロードでは喜多郎の音楽が背景に淡々と流れているため音楽をそれほど意識はしないけれど番組の雰囲気を盛り上げていた。
対して「新シルクロード」のヨーヨー・マの音楽は個性が強く激しい感情を伴って演奏しているので最初は感動するが数十回も聴くと鼻についてくる。音楽自体は素晴らしいのだが数十回も演奏されるシリーズ番組の音楽としては演奏が激しすぎる。もっと淡々とした音楽が欲しいと思う。単発番組とシリーズ番組ではアプローチは異なると思う。
その意味では「新シルクロード」のオープニング映像も、最初の1月から3月頃まではその美しくしかも激しい映像に感動したが最近では飽きてきた。

繰り返すが、現在は車で誰でも簡単に行けるところを「秘境」「世界遺産」と銘打って、所謂“るるぶ“的に騒いでいるドキュメンタリー番組が多い。
悲しいかな、実際に私が旅行する場合は金と時間と体力と経験・知識の乏しさからツアー参加による“るるぶ”的旅行にならざるを得ないので、せめてテレビ番組だけでも知性ある淡々とした雰囲気が欲しいと感じる。年を取ったのであろうか?了
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