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NHKスペシャル 新シルクロード

執筆日 2005/2/24
デジタル復元に期待する
(本稿は、別途開設しているブログ “「新シルクロード」雑感” より転記したものです)
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久しぶりに大きな本屋(紀伊国屋)に行って感心した。シルクロードのコーナーがあり豪華な装丁の関連書籍が数多く並べられている。私がシルクロードに興味を持ったのは30数年以上前であり、勿論このようなコーナーは無く、小さな文庫版の並んだ書棚を端から端まで目を凝らして欲しい本を探した。

当時の本は殆どが文庫版の大きさだったので、安価で携帯に便利であり、惜しげも無くアンダーラインを好きな箇所に引き、ページを折り曲げて目印にしていた。写真は白黒の不鮮明なものであり、逆にいろいろ想像する楽しみもあった。
当時の本も歴史学者や小説家が記述したものが多かったが、論拠となる出典は共通の文献(中国の史書)が多く、それに各人が推理を加えて色々な論陣を張っていた。時代が時代だけに入国が制限され、執筆家が現地を実地に調査したものは少なかったようだ。小説「敦煌」の作者の井上靖は、敦煌を見ずに小説を書き上げたとテレビで聴いた記憶がある。

現在の書籍は対照的である。現在の書籍は大きく高価なので購入を躊躇し、例え購入しても勿体無くてアンダーラインなど引けない。ましてやページの端を折り曲げて栞代わりにすることなどとんでもない。写真はカラーで素晴らしく想像が入り込む余地はない。
現在の書籍の内容は、発掘品の放射性炭素年代測定法やDNA鑑定などのハイテク技術による客観的かつ総合的な研究結果が織り込まれており、説明のための写真や図表もカラフルで大変分かり易くなっている。それと簡単に誰でも旅行出来るので、旅行案内的な記事も多い。(立ち読みであり購入していない)

25年前のNHKの「シルクロード」は始めて目にする想定外の光景が多く興奮したが、「新シルクロード」に関しては書籍や他番組からの知識を含め情報が非常に多くなっている。推理や想像を楽しむ余地が少ない。番組(画面)は豪華過ぎて逆に夢が少なくなっていると言ったら言い過ぎであろうか?

しかし、研究は進めば進むほど疑問は増えるものとも思う。「新シルクロード」では、その辺りの課題の積極的な紹介を期待している。

それと「ベゼクリク壁画」のデジタル復元に感心したことは、2月14日と2月16日のブログにも記したが、他の遺跡のデジタル復元も是非進めて欲しい。デジタル復元には膨大な考証と作業時間がかかるので、今回のシリーズでは限度があると思うが、これこそ25年前には出来なかった表現技術と思う。
そのデジタル復元とは、安っぽい不自然なレベルではなく、何処から何度みても見抜けない完全な復元のことであり、中途半端なものでは興醒めする。了
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