テレビ番組
視聴評論
NHKスペシャル 新シルクロード
執筆日 2005/2/16
ベゼクリク千仏洞のデジタル復元
(本稿は、別途開設しているブログ “「新シルクロード」雑感” より転記したものです)
最近のCG技術(コンピュータ・グラフィックス)の進展は凄い。数年前のCGは幼稚で漫画チックで現実感が乏しく子供騙しのようなものだった。
ところが、先日国立東京博物館で開催された「唐招提寺展」を見て目を見張った。
展示場には「東山魁夷の障壁画30数枚の実物」が唐招提寺に配置されているのと同じ配置で展示されていた。そして別のコーナーでは画伯の障壁画が「CGにより周囲の風景も含めて」散策するような雰囲気で大スクリーンに投影されていた。
変な話であるが、実物よりもCGの方が感動するのである。CGが実物より画面が大きなこともあるが、障壁画が周囲の景色と合成されてそれが画面的に全く破綻していない。4回ほど繰り返してこのCGを眺めていた。
NHKの「新シルクロード」のベゼクリク千仏洞のデジタル復元も、画面的な破綻は全くなく、精緻な考証を経て復元されている。完全な実物はこの世にはないものの、デジタル復元で充分に人を感動させ得ると思う。
私のホームページにも記したが、タクラマカン砂漠の遺跡はどこの遺跡でも観光案内の写真集が売られている。目の前の遺跡は既に風化してしまい全く原型を留めないものが殆どのため、建設当時の完成想像図を探したが見当たらなかった。
日本の精緻なCG技術でいろいろな遺跡のデジタル復元を望みたい。
現地で売られている観光案内の写真集を幾冊か購入したが、その日本語訳はひどい。読みづらいとか間違いが多いとかの話でなく、全く日本語になっていない。よくもこのレベルで出版したものだとその度胸に感心する。了