テレビ番組
視聴評論
NHKスペシャル 新シルクロード
放映日
執筆日 2005/1/29
楼蘭遺跡の4000年前のミイラ
(本稿は、別途開設しているブログ “「新シルクロード」雑感” より転記したものです)
1昨年、私がウルムチの「新疆ウイグル自治区博物館」を見学した時の最大のショッキングな展示品は桜蘭遺跡から発掘された保存状態の大変良い4,000〜3,000年前のミイラであった。日本でもかつて展示されて大騒ぎになったこともあるミイラが、目の前のガラスケースの中で無造作に展示されていた。
ニヤの博物館でも同様のミイラがガラスケースの中で無造作に保管されている感じがして心配だった。
今回の「新シルクロード」の番組の中でも保存状態の良い美人のミイラが発掘される場面があったが、無造作に扱われているとの感を免れなかった。
勿論発掘の責任者は中国の代表的な考古学者であり、番組中でもその人の深い見識と人柄は充分に伺われたが、例えば昨年の12月にNHKで放映された日本の「飛鳥のキトラ古墳」の壁画の保存作業に比べれば無造作に過ぎるように思えた。
厳しい環境の中での発掘作業であり物理的に難しい点もあろうけれども、相手は4000年前のしかも保存状態が大変良いミイラである。突然の環境変化に冒されないように細心の注意を払って研究と展示をして欲しいと思う。
それにしても番組の最後のナレーションで、今回4000年前のミイラが発掘された桜蘭の小河墓遺跡以降、 1000年の空白期間を経てあの桜蘭文明が華開いたと説明されたのは興味深い。この間の1000年間に何があったのだろうか? 4000年前の小河墓遺跡のミイラも、3000年前の楼蘭のミイラも共に種族はヨーロッパ系だからである。 了