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NHKスペシャル 新シルクロード
放映日 
執筆日 2005/1/26
25年目のシルクロード
(本稿は、別途開設しているブログ “「新シルクロード」雑感” より転記したものです)
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NHKにて1月1日に放映されたプロローグ「25年目のシルクロード」は、25年前に現地で取材された人たちがその後どのような生活をしているのかを追跡した番組であった。

@25年前の取材時は数少ない玉の鑑定人であったウイグル人が、現在は国有企業の鑑定士及び個人的に玉の売買を行い、大金持ちになった話。
A民族楽器作りの名人の息子が家業を継ぎ店を大きく拡大した話。
B木工屋が二人の息子を弟子として家業が発展した話。
C手打ちにこだわってふとん綿を打ち続けていたふとん屋には息子が4人生まれ、店も2軒に増えて繁盛している話。
D南疆鉄道の建設に従事した解放軍兵士が今はベテラン機関士として働いている話。
E25年前に結婚式をあげた遊牧民の夫婦が今では遊牧生活をやめ、豊かな安定した暮らしをしている話。

これらは全てが素晴らしいサクセスストーリーである。番組の性格上このようなサクセスストーリーを紹介することは視聴者が明るい気持ちになり良いことではあるが、全ての人々が成功した訳ではない。日本でも高度成長に伴って成功した人も居れば、上手く行かないで落ちぶれた人も当然居る。

同じNHKの他の番組で、新疆に綿を摘みにくる出稼ぎの若い女性達や、天山山脈に蜂蜜を求めに来て上手く行かなかった養蜂業者の様子が前後して放映されていた。これらの人々は成功者ではなく貧しい人達である。また沿岸部の経済成長に伴い内陸部には更に貧しい人達が多く居ることもNHKの別の特集で放映されていた。

沿岸部と内陸部の格差を縮めるためにも新疆の近代化は必要とのことだろうが、そこら辺の事情を説明するのは、シルクロードのロマンを求める人を対象にした「新シルクロード」では限度があると思う。
4000年前以来の壮大な歴史のロマンと、現在の問題を同一番組で扱う事は無理であろう。私が昨年シルクロードを旅行した時も頭の中にこの課題は常にあったが。 了
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