なぜ風が吹くのか
写真−40
南極上空の衛星写真
上図はGoogle Earthの画面を元に編集した。
なぜ風が吹くのか‥‥
パタゴニア地域は強い風が絶えず吹き荒れる。その理由として、
(1) 中緯度の地表付近では、亜熱帯高圧帯から南極側に吹き出す風が地球の自転による 「コリオリ
の力」 によって西向きとなり偏西風 となる。
(2) 赤道付近の大気は南極付近の大気よりも暖められているため、上層においては赤道が高気圧、
南極が低気圧となっている。
気圧差により生じる力は、気圧の高い方から低い方へ向かって等圧線に直角に働き、同じく
「コリオリの力」により西向きとなる。
このため中緯度の上層においてもやはり西向きの風が吹き 偏西風 となる。
(3) 偏西風は大気内の温度差を原因として生じるため、高度とともに強くなり対流圏界面付近
(約 10000m)で風速が最大となりジェット気流 となる。ジェット気流が強い地域は 低気圧 が発達
しやすい。
(4) 上図のように南半球は 風を遮る陸地が少ない 。
(5) 南アンデスは 30000km2のパタゴニア大陸氷塊を頂いているので、その巨大な自然の冷凍機に
冷やされた空気は大気の加熱で起きた上昇気流の下に潜り込みこの地特有の 局地風 を起こす。
パタゴニア地域は上記の条件を全て満たし、西寄りの風が最も強くなる地帯である。
大気中の水蒸気はアンデス山脈の西部斜面や山頂で雨や雪となって降り尽くされ、乾ききった空気の本流がアンデス山脈東側の平らな原野を吹き抜ける。