ワディ・マンタンドーシュの線刻画/ファイティングキャツ
写真−6
2007.11.15
岩壁画‥‥
先史時代の1万年以上前の人々が、岩壁や洞窟、岩の台地等の至るところに自分たちの生活を描き残している。罠を使用してキリンを生け捕る方法、集団での狩猟の様子、農作業の方法、結婚式‥‥彼らは生きた証を無数に刻み続けた。
岩壁画に対して、宗教的意味合いや、狩猟・農作の豊穣祈念の説明がされることもある。しかし、至るところに描かれた無数の岩壁画に、そのような難しい理屈は感じられない。
文字を知らない古代人は、苦労し、かつ工夫を重ねたその生活記録や、目の当たりにした動物などを、ただ無心に刻み続けのではなかろうか。後世に伝えたいとの願いがあったかも知れない。
古代人の営みは、対自然・対猛獣との厳しいサバイバルであったであろうが、生活の喜びが窺える図やユーモラスな絵も多い。
最も古い時代を 「古拙時代」 とも言うそうだが、古拙(古くて拙い)とは何事か! 古拙どころか、彼らの全ての絵は躍動感に富んでいる。
較べて東京の街中などにある汚い「落書き」 の方がはるかに芸術的に退化しているのではなかろうか。 「落書き」 には躍動感がない。