アイスランド東部海岸
写真−71〜73
2009.7.14
14:09
森林浴散策路 →
ハトラオムスタジール森林
(2000ヘクタールの植樹林)
2009.7.14
14:18
木のチップが敷かれた散策路 →
2009.7.14
14:11
森の無い国(2)‥‥
そもそも人類が定住した1140年前は、背丈15mものカバノキの林がアイスランドの国土の25〜40%を覆っていた。
カバノキは燃料として使われたが、もっと大きな需要として、鉄器を製造するのに必要な炭の原料としたことであった。19世紀の中頃には鉄器が輸入されるようになり、炭の必要性は軽減されたが、暖房と調理に使われ、さらに新木材工法とコンクリート構造の住宅は、従来の芝土を積み合わせた住宅より多くの暖房を必要とした。そして、1950年にはカバノキの林は、国土面積の1%以下になってしまった。
1950年から植樹は増え始め、63年から89年には50万〜100万本/年が植えられた。1990年から2005年には600万本/年が植えられて、1000〜1500ha/年の森が出来た。
しかし、過去15年間の植樹の進捗率(1000〜1500ha/年)では、アイスランドの国土面積の1%を植樹するのに50年はかかる。しかも2009年は金融危機で予算が20%カットされ、さらに植樹はダウンする。‥‥‥
この説に従えば、アイスランドに森林がないのは、自然が原因ではなく、人為となる。パンフレットは森林学者による膨大な論文で、私は語学力も森林知識も全くないので理解できないが、上記の記述では土壌との関連、火山と氷河の影響が分からない。
私が興味を引いたのは、鉄器を作るために大量の木を伐採し、炭を作ったとの記述であった。これは、1997年に大ヒットした宮崎駿監督の長編アニメ「もののけ姫」のテーマそのものである。「もののけ姫」では、照葉樹林を切り開いて炭を作り、タタラ製鉄を行う勢力と、それに反対する動物や神々を含めた勢力との葛藤を描いたものだった。
雄大な自然を観光するためにアイスランドに来たのだが、この荒涼とした不思議な風景が、実は人間による自然破壊の結果によるものだとしたら、皮肉なことである。鉄を作るために、自己回復不可能なまでに自然を痛めつけてしまったのであろうか。これも極端過ぎる。分からない。