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随想:フィットネスクラブに通う
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§7.体脂肪計の誤差に一喜一憂
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毎日決まった条件で体重を量り、パソコンのエクセルで折れ線グラフ表示している。それによると体重は運動により単調に変化するのでなく、かなり激しい凸凹である。しかし全体として眺めると下り勾配で減少しているので、運動の効果はここで始めて確認出来る。同じ条件下でもこれだけ凸凹があるので、毎日ランダムな条件で計測をすればもっと凸凹は激しいだろう。凸凹の原因は口から食事や水分を摂取した量、およびそれがどの程度身体に残存しているかによる。

この当たり前のことの中に重大なヒントが隠されていると思う。体重計測のタイミングによっては運動しても体重が増えたり、一度減少したものが再び大きく増加することもあるからである。気の短い人の中にはこの計測タイミングによる誤差に一喜一憂してダイエットを諦めてしまう人も居ると思う。やはり長期間の傾向を統計的に眺めて判断する必要がある。

同じ事は血圧にも言える。経験あると思うが血圧は30秒後に計測しても結果がかなり異なることがある。

さらに話をややこしくするのは体脂肪計の計測精度である。自宅の体脂肪計とフィットネスクラブの簡易体脂肪計では 約4%の誤差があり自宅の方が値が大きい。フィットネスクラブに備え付けられている大げさな計測器はその中間程度の値を示す。
さらに体脂肪率の値は時間毎に激しく変動し、1日の間で 5%の変化があることもあり、これに上記の計測機器の違いによる誤差も加味すると7%の誤差も生じ得る。
体脂肪率の僅か 1%の変化に価値を見いだそうとしている者にとって、7%の誤差は大問題である。激しくばらつく体脂肪率を信用出来ずダイエットを諦めている人もあるのではないか。

体脂肪量は直接には計測出来ない。内臓の内部、筋肉の内部、皮下に分布している脂肪量を直接計測出来ないことは当然である。そのため身体を流れる電気信号の強弱を計測し、間接的に体脂肪率に換算している。

体脂肪計メーカーの研究所では、サンプルとなる人を性別・年齢・スポーツ経験の有無等に分けて、身長・体重や水槽に入れて身体の容積などを計測し、サンプルの電気抵抗と体脂肪率などを統計的に処理して相関関係のデータを得ているらしい。
我々が体脂肪率を計測する時、先ず年齢や性別、スポーツ経験の有無などを入力するのはこのためであり、これらの条件とレバーを握って計測される電気抵抗値がメーカーの統計的データと照らし合わされて体脂肪率が算出される。
メーカー毎にデータや統計処理の方法が異なるので、メーカー間により計測値に差が出るのだろう。
このように体脂肪率は、多くの人(サンプル)の統計的に処理されたデータを勘案して算出されるため、本質的に誤差を含むものであるが、加えて我々が体脂肪率を計測する場合、計測前の飲食の条件、運動の程度や姿勢、体温などにより身体の電気抵抗値は異なり、それに伴ってさらに体脂肪率の誤差は大きくなる。体脂肪率が計測タイミングによりばらつくのも当然である。

体脂肪率の測定値には誤差があることを認識しても、僅か1万円程度で購入可能な体脂肪計のハイテク技術とその労力に心服する。
フィットネスクラブに備え付けられた計測器は、レバーを握るだけで体脂肪量や筋肉量は勿論のこと、骨量、ミネラル、タンパク質量、体水分量が分析され、さらに腕・ウエスト・大腿などの部位別の脂肪厚や、部位別の筋肉量バランスがアウトプットされる。注射をするように痛いことは必要ない。重ねてその技術に感服している。
筋肉は体脂肪の5倍ほどの絶対量があるので、筋肉の変化量の誤差は体脂肪の変化量の誤差以上に大きいと思われる。

なお、有酸素運動の器械はレバーを握ると心拍数(心臓の鼓動)を量ることが出来る。原理は身体の電流の変化を検知して測定するのだが、この精度は抜群に良い。例えばウォーキングマシンを使用中に水を飲むとその影響が直ちに表れるし、器械の違いによる誤差もない。
複数の書籍を調べてみたら、私の脂肪燃焼に最適な「目標心拍数」は 100〜110である。また、スポーツマン用に携帯用心拍計を製造しているメーカーによる「目標心拍数」は、私の場合 110〜120と多少値が高くなる。
書籍は一般人対象なので、心臓麻痺などのクレームを恐れて低めに設定しているのだろうか。プロのスポーツマンはトレーナーが付くこともあり、より適正に設定しているのかも知れない。

誤差の本質を理解し、同一計器・同一条件で長期間の計測回数を重ねれば、精度が劣るように見える計測値でも充分実用可能と思う。短期間のばらつきで一喜一憂するのは愚かである。
 
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