根塚遺跡
遺跡南側景観(高杜山) 根塚遺跡 遺跡北側景観(大塚〔右隅〕、平塚〔左隅〕)

長野県木島平村の村役場近くにある。千曲川の広い氾濫原に近い、馬曲 川と樽川の複合扇状地にある残丘(大塚、平塚、根塚、小塚)の一つで、飛鳥三山のような配置である。それぞれ遺跡があるのであるが、圃場整備の関係で1995年に発掘調査を行った。その結果、縄文時代から中世にいたる複合遺跡であることが分かり、保存されると共に、数次にわたる発掘調査が行われた。なお、西側はすでに削平されていて、遺物の半分は消滅したと考えられている。

このうち、朝鮮半島との関係で注目を引くものは弥生時代の鉄剣と刻書土器である。

鉄剣は埋葬遺構に埋められたものである。3本出土したが、そのうち2本が伽耶から来ものとされた。そのうちの2号鉄剣である、渦巻文装飾付鉄剣は伽耶で多く出るものである。金海良洞里にでるものと共通している。これがどのルートで入ったかは不明である。ただ、佐渡産管玉、越後産ヒスイが出ることで、越後との交流はある。一方で土器はほとんど信濃系の箱清水式土器で、民間レベルで越後との交流を示すものは少ない。首長のネットワークと民間のネットワークが異なっているということのようである。この中で、鉄剣が高田経由と畿内経由の両方を考えることが出来るという。

刻書土器は朝鮮半島の6世紀の土器と同様の筆順、書法であると指摘されている。この文字の書き方が朝鮮半島からの影響とは言い切れないが、3世紀から6世紀にかけての文字を知らなかった日朝の人々にとって、共通の誤りであると言うことは分かるようだ。

遺跡ジオラマ 渦巻文装飾付鉄剣(手前、奥は3号鉄剣・いずれも複製) 刻書土器(複製)

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